セッション情報 |
シンポジウム7(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
Cohort研究からみたウイルス性肝炎の解明
|
タイトル |
肝S7-12:遺伝子型によるB型慢性肝疾患の臨床像の検討―単施設コホート研究―
|
演者 |
小関 至(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科)) |
共同演者 |
狩野 吉康(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科)), 豊田 成司(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科)) |
抄録 |
【目的】遺伝子型別のB型慢性肝疾患の臨床像を明らかとする.【方法】2011年までにB型慢性肝疾患と診断した1258例(A型23例、B型275例、C型960例)を対象とし、遺伝子型別の背景因子、肝炎の病期、治療介入状況を調査した。次に遺伝子型B型とC型の5年以上経過観察例を対象に肝発癌率とHBs抗原消失率を検討した。遺伝子型はPCR Invader法あるいはEIA法を用いた。【成績】1 ) 背景因子 年齢中央値はA型、B型、C型でそれぞれ、46歳、58歳、53歳、男性は19例、172例、591例、HBe抗原陽性例は5例、16例、329例、HBs抗原(logIU/ml)中央値は4.1、2.5、3.3、HBV DNA(logcopies/ml)中央値は4.2、4.8、6.6であった。2)病期 免疫寛容期はA型、B型、C型でそれぞれ1例(5%)、2例(1%)、35例(4%)、e抗原陽性肝炎期で、5例(22%)、14例(5%)、291例(30%)、e抗原陰性肝炎期で、2例(9%)、103例(38%)、349例(36%)、非活動性キャリア期で、15例(65%)、156例(56%)、285例(30%)であった。3)治療介入状況 IFN治療はA型、B型、C型でそれぞれ1例(4%)、8例(3%)、117例(12%)、核酸アナログは6例(26%)、106例(38%)、568例(59%)で投与された。IFN投与例の年齢分布は遺伝子型B型、C型いずれも30歳未満で最も高かった。核酸アナログの投与率はB型ではどの世代も30~40%台であったのに対してC型では40歳未満で36%に対して40歳以上では65%と高率となった。4) 発癌率の検討 投与5年、10年、15年、20年で遺伝子型B / C型でそれぞれ、5% / 8%、6% / 20%、13% / 31%、18% / 38%でlog-rank testではp=0.023と有意にC型で発癌率が高かった。5) HBs抗原消失率の検討 投与5年、10年、15年、20年で遺伝子型B / C型でそれぞれ、2% / 1%、4% / 3%、9% / 8%、19% / 12%で2群間に差を認めなかった。【結論】遺伝子型C型ではe抗原陽性例、肝炎期の症例の割合が高く、HBV DNA量が高値で、治療介入例の割合が高かった。発癌率ではC型が高率であったが、HBs消失率ではB型とC型に差を認めなかった。 |
索引用語 |
B型肝炎ウイルス, 遺伝子型 |