セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(癌)4

タイトル 消P-374:

胃印環細胞癌マーカーCathepsin E(CTSE)の同定と臨床検体における発現解析

演者 今野 真己(東京大・消化器内科)
共同演者 山道 信毅(東京大・消化器内科), 稲田 健一(藤田保健衛生大・1病理学), 高橋 悠(東京大・消化器内科), 平山 慈子(東京大・消化器内科), 新美 惠子(東京大・消化器内科), 小野 敏嗣(東京大・消化器内科), 小田島 慎也(東京大・消化器内科), 藤城 光弘(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】胃癌の組織型は浸潤能や転移能に関連し、治療方針の決定や症例の予後に結びつく重要な因子である。胃癌組織型は主に6型に分けられ、分化型(tub1・tub2・pap)と未分化型(por・sig・muc)に大別される。ピロリ菌の持続感染から萎縮性胃炎~腸上皮化生を経て発癌に至るものには分化型癌が多いとされるが、こうした経路にあてはまらない症例も少なからず存在する。また、より悪性度が高い未分化型癌に関しては、発症機序やマーカーを含め、殆ど解明されていない。本研究は、未分化型癌の代表的組織型である胃印環細胞癌sigに注目して、そのマーカー遺伝子の探索と解析を目標とした。
【方法】分化型・未分化型胃癌で発現の違いが報告されているマーカー候補遺伝子について胃癌細胞株での発現解析を行ない、sigに特異的なマーカー候補遺伝子を探索する。次に、この遺伝子産物の発現解析を臨床検体で行い、マーカーとしての意義を検証するとともに、その発症機構の解明を目指す。
【結果】sigのマーカー候補遺伝子のうち、sig・por由来株で高度に発現(sig:2/2、por:5/7)し、tub1・tub2・muc由来株で発現が欠失傾向(tub1:1/4、tub2:0/1、muc:0/2、特殊型:0/3)を示す遺伝子として、CTSEを同定した。胃癌手術検体118症例の発現を解析すると、sig:51/51、tub1:4/10、tub2:7/18、pap:4/10、por:15/26、muc:0/3であり、CTSEはsigの重要なマーカー遺伝子と結論した。次に発癌初期の状況を検証するため胃粘膜内癌の内視鏡治療検体84症例(胃腺腫adenoma 6症例を含む)を解析すると、CTSE発現はsig:6/7、adenoma:0/6、tub1:6/52、tub2:4/12、pap:2/7で認められ、発癌初期からsigでCTSE発現が高く、tub2>pap>tub1>adenomaの順に発現が低下する傾向が明らかとなった。
【結論】CTSEは胃印環細胞癌sigの有用なマーカーであり、sigの診断や発症の解明に有用であると考えられた。
索引用語 胃印環細胞癌, カテプシンE