セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)1

タイトル 消P-385:

胃疾患に合併する巨赤芽球性貧血の3症例から検討した危険因子

演者 永山 学(えびの市立病院)
共同演者
抄録 【緒言】胃全摘後のビタミンB12補充療法は広く行われている.他の胃疾患でもビタミンB12や葉酸の欠乏による巨赤芽球性貧血を認める場合があり,その診断は比較的容易であるが危険因子に関する報告は少ない.【症例1】87歳女性.10年前に十二指腸潰瘍に対する幽門側胃切除術の既往を有し,2ヶ月前から認める下腿浮腫で当科受診した.WBC 2210 /μl,RBC 130万 /μl,血小板 5.2万 /μlの汎血球減少と大球性貧血(MCV 131 μm3)を認めた.上部消化管内視鏡(以下EGD)で残胃炎を認め,ビタミンB12 67 pg/ml (基準値233-914)より巨赤芽球性貧血と診断した.3ヶ月間のPPI内服とビタミンB12筋注により改善した.その後の再検で胃粘膜萎縮は軽度であり,悪性貧血は否定された.【症例2】81歳女性.1週間前から食思不振を認め当科受診した.RBC 164万 /μl,MCV 114 μm3の大球性貧血と血小板減少を認めた.心窩部圧痛を認めたためEGDを行ったところ前庭部前壁にA2 stageの胃潰瘍を認め,葉酸 1.1 ng/ml (基準値3.6-12.9)より巨赤芽球性貧血と診断した.尿素呼気試験と血清H.ピロリ抗体は陰性であった.PPI内服と葉酸補充療法により2週間で改善した.【症例3】63歳男性.以前にアルコール依存症であったが断酒していた.1ヶ月前から認める下腿浮腫で当科受診した.2週間前からストレスのため再飲酒していた. RBC 260万 /μl,MCV 110 μm3,葉酸 1.5 ng/mlの巨赤芽球性貧血,低アルブミン血症,肝逸脱酵素上昇を認め,EGDでびらん性胃炎を認めた.H2拮抗薬と葉酸補充により貧血は2週間で改善した.【考察・結語】3症例から巨赤芽球性貧血は残胃炎,胃潰瘍,びらん性胃炎など一般に遭遇する疾患に合併し,危険因子として高齢,飲酒が示された.巨赤芽球性貧血を認める場合はEGDが必要と考えられた.また,ビタミンB12欠乏と葉酸欠乏では治療期間に差が見られ留意する必要があると考えられた.
索引用語 巨赤芽球性貧血, 危険因子