セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)1

タイトル 消P-391:

療養型病棟を併設する地方病院におけるPEG施行例の実際

演者 吉永 寛(宇和島徳洲会病院・消化器科)
共同演者
抄録 【目的】経鼻内視鏡の出現やPEGキットの改良などによりPEG施行自体は短時間で安全にできるようになった。消化器内科医は胃瘻造設の依頼を受けるが、その適応に関しては関与しづらい状況がある。超高齢者社会において療養型病棟を併設した地方病院におけるPEGの実際を振り返り、適応と安全管理について検討する。【方法】対象は2004年4月から2012年1月までにPEGを施行した218例(平均年齢81歳 男性101例 女性117例)。造設方法は初期がpull法で後期がintroducer法。1)施行理由と背景疾患、2)偶発症、3)造設後の誤嚥性肺炎の有無、4)予後について検討した。【結果】1)施行理由は、嚥下障害107例(49.1%)、摂食110例(50.5%)、その他1例。背景疾患は、脳血管障害102例、その他の神経疾患35例、認知症34例、廃用症候群32例、精神疾患6例、その他8例であった。2)偶発症は皮下気腫が1例(0.5%)、瘻孔周囲炎5例(2.3%)、輸血が必要な出血が1例(0.5%)であった。いずれも保存的に改善、瘻孔周囲炎は造設法間に差はなかった。3)PEG施行218例中その後の調査ができた113例において、誤嚥性肺炎のなかった例が56例(49.6%)、誤嚥性肺炎の再発のあった例が57例(50.4%)あった。3)PEG施行218例中予後の調査できた184例において、2012年1月末の時点で生存中が64例(胃瘻造設後平均543日)であり、死亡例は115例で胃瘻造設後の予後は481.7日であった。 36例(16.5%)は胃瘻造設後の予後が90日以内であり、22例(10.1%)においては30日以内であった。PEG後90日以内に死亡した36例中肺炎などの感染症による死亡が24例で最も多かった。胃瘻造設後の移動先は、急性期病棟のままが25例、療養型病棟113例、施設43例、在宅33例、精神病院4例であった。PEG管理から経口摂取可能になった症例が7例あった。【結論および考察】PEG自体のリスクは少なく比較的安全に施行されていた。誤嚥性肺炎の再発率は高く、必ずしも予防できるわけではない。PEG後早期に死亡している症例が少なからずあり、PEGの適応に関して慎重な吟味が必要である。
索引用語 PEG, 胃瘻