セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)2

タイトル 消P-392:

13C-炭酸カルシウムを用いた呼気試験による胃酸分泌能の評価についての検討

演者 新海 洋彦(東北大病院・消化器内科)
共同演者 飯島 克則(東北大病院・消化器内科), 伏谷 淳(東北大病院・消化器内科), 宇野 要(東北大病院・消化器内科), 浅野 直喜(東北大病院・消化器内科), 阿部 靖彦(東北大病院・消化器内科), 小池 智幸(東北大病院・消化器内科), 今谷 晃(東北大病院・消化器内科), 下瀬川 徹(東北大病院・消化器内科)
抄録 【目的】13Cを用いた呼気試験は、その簡便性、安全性からH. pylori診断用の13C-尿素呼気試験を始め、多くが臨床的に応用されている。13C-炭酸カルシウム(Ca13CO3)は中性の水にはほとんど溶解しないが、塩酸などの強酸と反応して13CO2を発生する(Ca13CO3 + 2HCl → CaCl2 + 13CO2 + H2O)。よって経口的にCa13CO3が投与された場合、胃内の酸と反応して13CO2を発生し、発生した13CO2は速やかに胃壁から吸収され、体循環を流れて呼気に排出されることが推測される。この反応は酸の存在に依存するため、呼気中の13CO2を測定することで、胃内酸度を測定・評価できる可能性がある。今回、我々はCa13CO3を用いた呼気試験による胃内酸度の評価の可能性について検討した。【方法】H. pylori陰性健康成人6例に対して内視鏡的胃酸度測定検査を行い、貯留胃液を採取した。採取した胃液に対して滴定を行い、胃酸度を測定した。続いて内視鏡的胃酸度測定検査より2時間後に、用量を変えたCa13CO3 (100mg、200mg、500mg、1000mg)と0.5%carboxymethyl cellulose sodium溶液50mlの懸濁液を服用し、内服後5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分、60分、80分、100分、120分における呼気を採取した。呼気中13CO2を赤外分光分析装置にて測定し、各呼気時間におけるΔ13CO2値を算出した。【成績】Ca13CO3の用量と呼気中Δ13CO2最大濃度(Cmax)、Δ13CO2濃度時間曲線下面積との間に相関を認めた。Ca13CO3 200mg投与時の呼気中Δ13CO2・Cmax値と内視鏡的胃酸度との間に相関を認めた。【結論】Ca13CO3を用いた呼気試験によって胃内酸度が評価できる可能性が示唆された。簡便かつ非侵襲的に胃内酸度を測定することができ、臨床的にプロトンポンプ阻害薬などの制酸剤の効果判定などに応用できる可能性が示唆された。
索引用語 炭酸カルシウム, 呼気試験