セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
胃・十二指腸(症例報告/その他)2
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タイトル |
消P-396:当院における高齢者上部消化管出血に対する緊急内視鏡的止血術の現況
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演者 |
木村 治紀(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科) |
共同演者 |
桑井 寿雄(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科), 檜山 雄一(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科), 水本 健(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科), 山本 宗平(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科), 平田 真由子(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科), 山口 厚(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科), 河野 博孝(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科), 高野 弘嗣(国立呉医療センター・中国がんセンター消化器科) |
抄録 |
【目的】今回我々は高齢者上部消化管出血に対する緊急内視鏡的止血術の有用性を検討した.【方法】平成17年8月から平成24年2月に上部消化管出血に対して緊急内視鏡的止血術(静脈瘤を除く)を施行した227例を対象とし,70歳以上の高齢者群115例(男性69例,女性46例,以下A群)と非高齢者群112例(男性94例,女性18例,以下B群)の2群に分け,患者背景,治療成績について検討した. 【成績】基礎疾患の合併はA群72%(83/115),B群39%(48/112)でA群が有意に高く,その内訳は循環器系A群28例(24%),B群8例(7%),脳血管系A群25例(21%),B群6例(5%),悪性腫瘍A群11例(10%),B群9例(8%)であった.抗血栓薬,NSAIDの内服はA群42%(49/115),B群16%(18/112)でA群が有意に高かった.またA群ではアスピリン内服18例中11例(61%),NSAID(アスピリン除く)内服17例中6例(35%),ワルファリン内服17例中14例(82%)は止血治療のための休薬後,再投与を開始した.ピロリ菌感染率はA群31%(36/115),B群38%(42/112)で有意差は認めなかった.出血の原因疾患は胃潰瘍A群83例(72%),B群73例(65%),十二指腸潰瘍A群14例(12%),B群23例(20%),Mallory-Weiss症候群A群8例(7%),B群3例(3%),胃癌A群6例(5%),B群5例(5%)で有意差は認めなかった.止血方法は止血鉗子,HSE(高張Naエピネフリン)局注法,クリップ法,APC(アルゴンプラズマ凝固術)を状況に応じ併用した.内視鏡的止血率はA群97%(112/115),B群97%(109/112)と共に良好で,止血困難であった胃十二指腸潰瘍(AB群各3例)はInterventional radiology(IVR)にて止血し得た.また再出血率はA群6%(7/115),B群8%(9/112)(全例胃十二指腸潰瘍)であった.【結語】高齢者は,基礎疾患の合併や抗血栓薬,NSAIDの内服例が多く注意を要すが,上部消化管出血に対する緊急内視鏡的止血術は成績良好であり,高齢者に対しても有用な治療法であると考えられた. |
索引用語 |
上部消化管出血, 内視鏡的止血術 |