セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)2

タイトル 消P-397:

胃癌髄膜癌腫症の3例

演者 荒畑 恭子(東京歯大市川総合病院・消化器内科)
共同演者 貝田 将郷(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 財部 紗基子(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 堀川 ひとみ(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 岸川 浩(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 西田 次郎(東京歯大市川総合病院・消化器内科)
抄録 【はじめに】髄膜癌腫症は癌細胞が脳や脊髄の軟膜にびまん性に浸潤する転移様式であり、全癌患者の約5%にみられ、原発巣として胃癌が多いと言われている。われわれも最近胃癌による髄膜癌腫症の3例経験したため、文献的考察を加えて報告する。【症例1】66歳男性。めまい・ふらつきを主訴に前医を受診。頭痛、嘔気と両側難聴を自覚したために当院紹介入院となった。聴力検査で両側感音難聴、神経所見は右注視時複視、失調性歩行を認めた。全身精査目的で行なった腹部CTで胃体上部に不整な壁肥厚と小弯側リンパ節の腫大がみられ、胃癌のリンパ節転移を疑い上部内視鏡検査を施行。同部位からの生検の結果、印環細胞癌と診断。その後急速に視力低下を来たし、髄液検査より髄膜癌腫症と診断されるも入院後第34病日に死亡した。【症例2】55歳男性。構音障害・意識障害を主訴に当院救急搬送。血液検査上貧血と腹部CTで胃体部の不整な壁肥厚と多発リンパ節の腫大を認め胃癌のリンパ節転移を疑い緊急入院。上部内視鏡検査の生検、髄液検査の細胞診より共に腺癌を検出し胃癌による髄膜癌腫症と診断されるも入院後第11病日に死亡した。【症例3】60歳女性。両側眼瞼浮腫と右下肢痛を主訴に来院。腹部CTで腹腔内多発リンパ節の腫大を認め精査目的に緊急入院。上部内視鏡検査の生検の結果、印環細胞癌と診断。胃癌に対して化学療法を開始するも、徐々に意識レベルの低下を来たしたため、髄液検査を施行したところ髄膜癌腫症と診断。脳室ドレナージを行い抗癌剤の髄腔内投与を予定していたが入院後第52病日に死亡した。【考察】本症は極めて重篤な状態であり根本的な治療は困難ではあるが、可能な限り早期に確定診断をつけ治療を開始する事で症状の緩和や延命効果が期待できるとの報告もある。そのため神経症状を有する胃癌患者はもちろん、説明のつかない神経症状をみた際には髄膜癌腫症を念頭におき、積極的に髄液穿刺などを施行していく必要があると考えた。
索引用語 髄膜癌腫症, 胃癌