セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)3

タイトル 消P-401:

cineMRIによる病的肥満症に対する胃袖状切除前後の消化管運動の可視化

演者 山本 寛(滋賀医大・外科)
共同演者 山口 剛(滋賀医大・外科), 村田 聡(滋賀医大・外科), 谷 徹(滋賀医大・外科)
抄録 【目的】術後急速かつ劇的な食欲低下と減量効果を来たし、かつレプチン・グレリン・GLP-1などの摂食関連ペプチドが増減する減量手術は、摂食調節機構の解明において、極めて示唆に富む治療である。2010年、我が国で先進医療に承認された病的肥満症に対する腹腔鏡下袖状胃切除術は、他の減量手術のように、減量のみならず一定の糖尿病改善効果をもたらすことが知られているが、そのメカニズムは明らかにはされていない。我々はこれまでに当院で経験した腹腔鏡下袖状胃切除によって糖尿病が改善した症例を報告し、そのメカニズムとして手術によって増減するGLP-1やグレリンなど消化管ホルモンの関与が考えられることを示した。袖状胃切除術後にグレリンが減少することは切除されるfornixにグレリン分泌細胞が多く存在することから理に適っているが、GLP-1に関しては、なぜ術後過剰分泌されるのか、明らかにされていない。そこで我々は、cineMRIを用いて、袖状胃切除術前後の消化管運動の評価を行い、GLP-1過剰分泌のメカニズムに考察を加えたので報告する。【方法と成績】当院で腹腔鏡下袖状胃切除術を施行した6名の病的肥満患者に対して、術前後に経口糖負荷試験(OGTT)と血糖・インスリン・GLP-1測定を行い、さらにOGTT前後にcineMRIによる消化管運動の解析を行った。その結果、術後においてはOGTT後15分でGLP-1過剰分泌が起こり、かつ小腸運動の亢進が起こることを突き止めた。この小腸運動の亢進は、GLP-1分泌亢進がみられない術前あるいはOGTT前には起こらなかった。【結論】cineMRIは、被曝がなく、これまでcineとして捉えられなかった消化管運動の可視化と評価を可能にした。今回の検討から、袖状胃切除術後にはダンピング症候群のように、糖が急激に遠位回腸および近位大腸にまで到達し、GLP-1分泌細胞を刺激することによりGLP-1の過剰分泌を引き起こすのではないかと考えられた。
索引用語 cineMRI, GLP-1