セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)3

タイトル 消P-402:

健診受診者に発見された消化器癌、消化器疾患における性差の影響

演者 飯塚 政弘(秋田赤十字病院附属あきた健康管理センター)
共同演者 相良 志穂(秋田赤十字病院附属あきた健康管理センター), 伊多波 未来(秋田赤十字病院附属あきた健康管理センター)
抄録 【目的】各種消化器癌においては、ヘリコバクタピロリ(HP)、喫煙、飲酒など種々の危険因子が報告されているが、性差に関する詳細な報告は少ない。今回、健診で発見された胃癌、大腸癌に加え、良性疾患で近年増加傾向にある脂肪肝、逆流性食道炎(GERD)について、罹患率と性差の影響について検討した。【方法】(1) 2008年4月~2011年12月に当センターでの癌検診受診者(胃癌検診:29525例(男19536, 女9989)、大腸癌検診:30534例(男20031, 女10503))を対象に、胃癌、大腸癌の頻度を男女別に算出・比較した。また、喫煙、飲酒の影響も検討した。(2) 2010年1月~12月に腹部超音波検査を受けた2769例(男1828, 女941), 胃内視鏡検査を受けた2115例(男1408, 女 707)を対象に、脂肪肝、GERDの頻度を男女別に算出・比較した。【結果】(1) 胃癌は男30例(0.154%), 女4例(0.04%)に発見され、男性に高率に認められた(p<0.01)。年代別では、50代までは男女間で差はなく60代より有意差が認められた。大腸癌は男17例(0.085%), 女10例(0.095%)に発見され、男女間で頻度の差はなかった。全受診者の喫煙率は、男47.1%, 女16.1%, 飲酒率は男52%, 女16.5%でいずれも男性が高値であった(p<0.0001)。一方、胃癌男性の喫煙率、飲酒率は、41.9%、61.3%で、飲酒率は男性全体の平均より高値であったが(p=0.0476)、喫煙率は平均よりむしろ低値であった(p=0.0195)。(2) 脂肪肝の頻度は男49%, 女18.4%, GERDの頻度は男15.6%, 女2.8%で、いずれも男性が有意に高値を示した(p<0.0001)。【結論】胃癌、脂肪肝、GERDは男性に高率に認められた。HP感染や男女による生活習慣の相違などに加え、性差による疾患感受性の違いがその原因に関与している可能性が示唆された。
索引用語 性差, 胃癌