セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)4

タイトル 消P-404:

A型胃炎によるビタミンB12吸収不全により脳梗塞を発症したと考えられる1例

演者 松谷 紀彦(公立那賀病院・内科)
共同演者 舩橋 友美(和歌山県立医大・1内科), 山本 昇平(公立那賀病院・内科), 宮田 佳穂里(和歌山県立医大・1内科), 那須 鉄史(公立那賀病院・内科), 豊田 和之(公立那賀病院・内科), 河島 明(公立那賀病院・内科), 近藤 渓(公立那賀病院・内科)
抄録 【症例】60歳男性【主訴】動悸・倦怠感【現病歴】平成23年8月ころより味覚の変化を自覚。9月初旬ころから両下肢に浮腫を認めるようになり、動悸・倦怠感を自覚する様になったため近医を受診。血液検査にて汎血球減少を認め、受診翌日精査目的にて当院を紹介受診。【既往歴】30歳 虫垂炎 60歳(平成23年5月)右後頭葉脳梗塞【個人歴】飲酒ビール1日350ml、喫煙歴なし、アレルギーなし【内服歴】チクロピジン(H23年5月~)【現症】眼瞼結膜貧血あり、眼球結膜黄疸なし、両下肢に浮腫を認める。【診断】血液検査にて大球性貧血を認め、骨髄検査では多数の赤芽球を認めた。またビタミンB12は67pg/mlと低値でありビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血と考えた。更に内因子抗体陽性であり上部消化管内視鏡検査にて胃底部から体上部胃粘膜の萎縮像を認めた事からA型胃炎による巨赤芽球性貧血と診断した。【検討】ビタミンB12の欠乏によるDNA合成障害が巨赤芽球性貧血の原因であるが、ビタミンB12はメチオニン代謝経路において産生されるホモシステインの代謝に関連しており、その欠乏によりホモシステイン値が上昇する。高ホモシステイン血症は脳梗塞のリスクである事が知られている。本症例においても血漿ホモシステイン値は39.8nmol/mLと高値であった。その他に脳梗塞のリスクは認めず、本症例はA型胃炎によるビタミンB12欠乏から高ホモシステイン血症を呈し脳梗塞を発症したと考えられる。A型胃炎による巨赤芽球性貧血の報告頻度は少ないものの認め、病態として認識されているが、ホモシステイン値に言及し脳梗塞との関連を述べた報告は本邦および海外の文献においても認めず稀ではあるが起こり得る病態でありこれを報告する。
索引用語 A型胃炎, ホモシステイン