セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)4

タイトル 消P-405:

胃GISTの鑑別に遺伝子解析が有用であったDFSPの胃転移の一例

演者 稲生 優海(横浜労災病院)
共同演者 地口 学(明神台クリニック), 河島 圭吾(横浜労災病院), 内藤 舞(横浜労災病院), 飯沼 瑞恵(横浜労災病院), 藤田 祐司(横浜労災病院), 江塚 明子(横浜労災病院), 内山 詩織(横浜労災病院), 村瀬 貴之(横浜労災病院), 谷 理恵(横浜労災病院), 川名 憲一(横浜労災病院), 大谷 節哉(横浜労災病院), 永瀬 肇(横浜労災病院)
抄録 【症例】76歳、女性。既往に、1年6か月前に前胸部を首座とする20cm大の隆起性皮膚線維肉腫(以下DFSP)切除術あり。2011年5月、労作時心窩部痛を主訴に救急外来受診。Hb9.7g/dLの貧血と便潜血反応陽性を認め、消化管出血の精査目的にて当科紹介となった。GFにて胃体上部前壁に45mm大の出血を伴う粘膜下腫瘍を認めたが、亀頭様に腫瘍が露出し、多結節状に粘膜下隆起が連なる非典型的な所見であった。造影CTでは同部位に筋層を中心とし、胃壁内外に発育を認め、内部が不均一に造影される50mm大の腫瘤を認め、胃原発GISTが第一に疑われた。周囲リンパ節の腫脹を認めたため、胃全摘術および周囲リンパ節郭清が施行された。切除検体の病理組織所見ではspindle cellが互いに交錯して花むしろ状を呈し、免疫染色ではKIT(-)、CD34(±)、SMA(-)、S-100(-)、MIB-1L.I.index40%であった。KIT陰性GISTが疑われたが、特徴的なepithelioid typeではないこと、既往のDFSPの所見と類似していることなどから、遺伝子解析を行った。その結果c-kit、PDGFRαともに変異を認めず、COL1A1-PDGFB融合遺伝子を認め,DFSPの胃への転移の確定診断がついた。【考察】DFSPの胃転移は過去に報告がなく、極めてまれな症例を経験した。近年悪性腫瘍の鑑別や治療効果予測に遺伝子変異解析が用いられるようになり、本症例においても確定診断、および今後のメシル酸イマチニブの奏功予測につながった。
索引用語 DFSP, 胃転移