セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)4

タイトル 消P-407:

ソラフェニブ内服を背景とした難治性のGAVEに対しTAEが奏功した1例

演者 吉田 はるか(国立仙台医療センター・消化器内科)
共同演者 阿子島 裕倫(国立仙台医療センター・消化器内科), 千田 信之(千田内科), 田邊 暢一(国立仙台医療センター・消化器内科), 野口 謙治(国立仙台医療センター・消化器内科), 高橋 広喜(国立仙台医療センター・消化器内科), 真野 浩(国立仙台医療センター・消化器内科), 鵜飼 克明(国立仙台医療センター・消化器内科), 田所 慶一(国立仙台医療センター・消化器内科)
抄録 【はじめに】胃前庭部血管拡張症(以下GAVE)は胃前庭部を中心にびまん性に血管拡張を認める病態であり、アルゴンプラズマ凝固法(以下APC)が主な治療法である。今回、我々はソラフェニブ内服を背景としたAPC無効GAVEに対し動脈塞栓術(TAE)を行い奏功した1例を報告する。【症例】69歳女性【主訴】貧血【既往歴】C型肝硬変、虫垂炎、気管支喘息【現病歴】平成20年1月下旬に肝細胞癌(以下HCC、T2N0M0、Stage II)に対し当科にて肝動注化学療法を施行した。同年3月にHCC再発を認め、同年4月上旬よりソラフェニブ第III相試験(POST-TACE Study)に参加したが血小板減少Grade3のため7月上旬で治験終了した。平成22年2月上旬にGAVEによるタール便、Hb 4.4g/dlと著明な貧血を認めたがAPCを施行し軽快した。その後3月にHCC再発を認め、5月下旬よりソラフェニブ400mg内服を開始した。7月中旬貧血を認め精査加療目的に入院した。入院時Hb7.2g/dl、Plt 5.1万/μl、PT 91%、Child-Pugh Score 5、Grade A。【経過】上部消化管内視鏡検査では胃前庭部に出血を伴う血管拡張像をびまん性に認めた。CT検査、下部消化管内視鏡検査、カプセル内視鏡検査では明らかな出血は見られず、貧血の原因はGAVEと考えられた。10月中旬に大量下血を認めソラフェニブ内服を中止した。7月の入院後から12月中旬にかけて赤血球輸血に加えAPCを計11回施行したが出血を繰り返しAPC無効と判断した。12月下旬に血管造影検査を施行し右胃動脈と右胃大網動脈幽門枝からそれぞれ前庭部に向かう血管に動静脈奇形を認めたため、両動脈に対してマイクロコイルを使用し2期的にTAEを行った。術後貧血は改善し、上部消化管内視鏡検査では潰瘍形成はみられず、GAVEの著明な改善を認めた。【まとめ】GAVEが難治性であった原因としてソラフェニブの関与が考えられた。GAVEに対するTAEは胃潰瘍や壊死も懸念されたが、選択的TAEは合併症が少なく有用と考えられた。
索引用語 GAVE, TAE