セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)4

タイトル 消P-408:

胃軸捻転症を伴ったBochdalek孔ヘルニアの1男児例

演者 村田 真野(市立枚方市民病院)
共同演者 余田 篤(大阪医大・小児科), 井上 恵介(大阪医大・小児科), 松村 英樹(市立枚方市民病院), 柏木 充(市立枚方市民病院), 奥村 謙一(市立枚方市民病院), 岡空 圭輔(市立枚方市民病院), 河合 英(大阪医大・一般・消化器外科), 平松 昌子(大阪医大・一般・消化器外科), 内山 和久(大阪医大・一般・消化器外科), 玉井 浩(大阪医大・小児科)
抄録 要旨【はじめに】1歳以上の小児において胃軸捻転症はまれな疾患とされている。今回我々は、横隔膜ヘルニアの一型であるBochdalek孔ヘルニアに胃軸捻転症を合併した1男児例を経験したので報告する。【症例】3歳、男児【既往歴】特記すべき事項なし(外傷既往なし、繰り返す嘔吐及び腹痛発作なし)。【現病歴】2012年2月28日に嘔吐及び腹痛を主訴に当院を救急受診した。初診時に腹部膨満があり、腹部単純レントゲンで胃泡の拡張を認めた。急性胃拡張と診断されて同日緊急入院となった。【入院時現症】体重14Kg、体温37.1℃、意識清明であったが顔色やや不良。胸部聴診上ラ音及び心雑音なし。上腹部は軽度膨満し、圧痛を伴っていたが、筋性防御なし。体表発疹なし。【臨床経過】胃内減圧のために胃管を留置した際に、上部消化管造影を施行したところ、前庭部は噴門部より左頭側に存在し、胃は全体として逆α型を呈し、間膜軸型の胃軸捻転と診断した。また腹部CTで左Bochdalek孔ヘルニアと診断した。減圧処置後に胃軸捻転は一旦自然解除されたものの、第7病日に同様の間膜軸型の胃軸捻転を再発した。内視鏡的胃軸捻転整復術を行った後に、第18病日に根治術としてBochdalek孔ヘルニア縫縮術及び胃固定術を行った。第23病日に軽快退院した。【考察】胃軸捻転症は、腹部単純レントゲンで胃泡の異常な拡張を認めた場合に、まず鑑別に挙げる疾患である。確定診断には上部消化管造影検査が必要である。その頻度は低いが、胃軸捻転症は10%程度の死亡例があり、急性例では治療が遅れると死亡率が高くなる。早期の診断のために、まずその疾患の存在を知っておくことが大切である。また、小児の胃軸捻転症では大部分の症例に横隔膜の異常、胃間膜の異常、無脾症、腸回転異常などが単独または重複して認められている。胃軸捻転症を診断すると同時に、それを引き起こした要因を検索することも重要である。
索引用語 胃軸捻転, bochdalek孔ヘルニア