セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)4

タイトル 消P-409:

多発筋肉内転移をきたした胃癌の一例

演者 島 由子(名古屋市立東部医療センター)
共同演者 長谷川 千尋(名古屋市立東部医療センター), 浅野 剛(名古屋市立東部医療センター), 北川 美香(名古屋市立東部医療センター), 西牧 亜奈(名古屋市立東部医療センター), 田中 義人(名古屋市立東部医療センター), 伊藤 恵介(名古屋市立東部医療センター), 川合 孝(名古屋市立東部医療センター)
抄録 症例は70歳,男性.頚部腫瘤の精査を主訴に来院.平成24年2月上旬に左頚部~鎖骨上部の腫脹に気づき,近医受診.頸部リンパ節腫大を指摘され,精査治療目的で当院紹介された.初診時左頚部~鎖骨上窩にかけて径5~7cmに腫大したリンパ節を数個触知したが,その他の表在リンパ節は触知しなかった.血液検査ではCEA 15702 ng/ml,CA19-9 40.4 U/ml,sIL-2R 1080 U/mlであった.GIFで胃体上部後壁から胃角部にかけて4型の腫瘍を.また十二指腸下行脚に径10mm大で類円形の隆起性病変を認めた.両部位の生検はいずれもpoorly differentiated adenocarcinomaでHER2陰性であり、十二指腸の病変は胃癌の転移によるものと考えられた.造影CTで左頚部~鎖骨上窩,腹部大動脈周囲,腹腔内,骨盤内リンパ節が腫大しており,右大臀筋,左中臀筋,両側大腰筋,左脊椎傍筋,両側大腿に淡い造影効果のある占拠性病変を認めた.超音波検査で右大臀筋内に径82×38mmの低エコー腫瘤を認め,内部には強い血流のある血管を伴っていた.同部位の生検はpoorly differentiated adenocarcinomaで一部に印環細胞癌の形態を伴い,胃癌の転移として矛盾しない所見であった.以上の検査結果より,臨床病期はstage 4と診断した.化学療法の適応と考え,CDDP+S-1併用療法を開始したところ,頸部腫瘤,臀部腫瘤は縮小傾向となり,現在治療を継続中である.胃癌の筋肉内転移の転移様式は明らかにされていない.しかしCDDP+S-1併用療法によりPRの効果が得られたという報告があり,本症例でも頸部リンパ節及び筋肉内腫瘍に縮小効果が認められた.胃癌の筋肉内転移は稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 胃癌, 筋肉内転移