セッション情報 シンポジウム8(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

NASHからの発癌:基礎と臨床

タイトル 肝S8-3:

非アルコール性脂肪性肝疾患からの肝発癌進展過程における自然免疫の関与

演者 向井 香織(大阪大大学院・消化器内科学)
共同演者 宮城 琢也(大阪大大学院・消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】肥満に伴う慢性肝疾患である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)なかでも脂肪肝炎から肝癌が発生することが明らかとなってきた。しかし、その過程における自然免疫の関与については明らかでない。自然免疫は、微生物感染だけでなく癌の発生・進展に対する宿主防御応答において重要な役割を果たす。NAFLDからの肝発癌進展過程における自然免疫の関与について検討した。【方法】C57BL/6雄マウスに対し4週齢から高脂肪食を負荷し食餌性肥満マウスを作成した。対照を同期間通常食にて飼養した同週齢マウスとした。7週、14週、20週、32週、44週負荷した時点で、血液と肝臓を採取した。血液を用い、血清ALTにて肝障害の程度を評価した。肝臓を用い、組織学的に脂肪化・炎症の程度を、フローサイトメトリーにて免疫細胞の表現型を、定量的PCRにて遺伝子発現を評価した。【成績】対照に比し肥満マウスにおいて、血清ALT値は20週以降著明に高値を示した。組織学的には肥満マウスにおいて、20週以降肝脂肪化だけでなく炎症細胞浸潤を伴う脂肪肝炎を認め、32週以降肝線維化を認めた。44週では20%程度の肥満マウスにおいて肝腫瘍の発生を認めた。肝臓内免疫細胞のサブセット解析から、対照に比し肥満マウスにおいて食餌負荷期間に応じて経時的に、NKT細胞が減少し未熟骨髄由来細胞が増加していた。またNK細胞はいったん増加したのち減少した。NK細胞活性化レセプターNKG2Dに対するリガンドの発現は、肥満マウスにおいて常に低値であった。内因性IFN:IFNα4/IFNβの発現は、肥満マウスにおいて14週では高値であったが、以後は常に低値であった。肝発癌との関連が示唆されるS100A8/9の発現が、32週以降、肥満マウスで著明に高値であった。【結論】NK細胞・NKT細胞の減少、それら細胞の活性化に関与するNKG2Dリガンド・内因性IFNの低下、それら細胞の機能を抑制しうる未熟骨髄由来細胞の増加が、NAFLDからの肝発癌進展過程に関与している可能性が示唆された。
索引用語 NAFLD・NASH, 発癌