セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)5

タイトル 消P-414:

Trousseau症候群を発症した切除不能進行胃癌の1例

演者 星野 訓一(浦添総合病院・内科)
共同演者 普久原 朝史(浦添総合病院・内科), 海田 正俊(浦添総合病院・内科), 屋嘉比 聖一(浦添総合病院・内科), 松川 しのぶ(浦添総合病院・内科), 末吉 宰(浦添総合病院・内科), 仲村 将泉(浦添総合病院・内科), 小橋川 嘉泉(浦添総合病院・内科), 藪谷 亨(浦添総合病院・内科), 内間 庸文(浦添総合病院・内科), 金城 福則(琉球大附属病院・光学医療診療部)
抄録 【症例】81歳.男性.【主訴】悪心嘔吐.【既往歴】2001年に肺癌.【現病歴】2週間前より,悪心,嘔吐,食欲低下を認め,改善しないため2011年12月に精査目的に当院に入院加療となった.【経過】PS2で食餌がほとんど摂取できない状況であった.意識は清明で神経学的所見は異常なし.上部消化管内視鏡検査で,胃体部小弯に3型の腫瘤を認め,組織検査では低分化型腺癌を認めた.腹部CT検査では胃壁の肥厚と,傍大動脈周囲リンパ節腫大,縦隔リンパ節の腫大を認めた.切除不能進行癌と診断し,化学療法を施行するか検討したが,高齢であることより希望せず.入院後は黒色便が持続し,輸血を繰り返していた.原発巣に対して止血目的の放射線照射を30Gy行った.照射後は,黒色便は認めず.2012/2月下旬に突然の意識レベルの低下III-100を認め,脳血管障害を疑い頭部MRIを施行したところ,両側大脳,小脳にDWIで急性期の脳梗塞巣と,左側側頭後頭葉に複数の微小出血痕,両側基底核に陳旧性の脳梗塞巣を認めた.多彩な所見で脳塞栓症と診断した.心臓超音波検査では血栓や心内膜炎を思わす疣贅も認めず.血液検査でFDP69.0μg/ml,Dダイマー31.1μg/mlと高値を認め,進行胃癌に発症したTrousseau症候群と診断した.ヘパリン1万単位/日,エダラボン60mg/日を開始した.徐々に意識レベルの低下を認め,発症後より4日目で永眠された.【考察】Trousseau症候群は,潜在性の悪性腫瘍の遠隔効果により神経症状を生じる傍悪性腫瘍神経症候群であり,悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進により脳卒中症状を生じる病態である.治療は原疾患の治療と抗凝固療法である.本症例は,胃癌の出血もあったが,放射線照射後で止血を得れていたので,ヘパリン,エダラボンで治療を行ったが,不幸な経過になった.胃癌に併発する重要な症候群であり,若干の文献的考察も加えて報告する.
索引用語 Trousseau症候群, 進行胃癌