セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(症例報告/その他)5

タイトル 消P-415:

巨大なリンパ節転移を契機に発見された胃原発AFP、PIVKA-2産生性肝様腺癌の1剖検例

演者 清水 悠郎(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センター)
共同演者 佐々木 智彦(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センター), 高 蓮浩(横浜市立大市民総合医療センター・内視鏡部), 平澤 欣吾(横浜市立大市民総合医療センター・内視鏡部), 岡 裕之(横浜市立大市民総合医療センター・内視鏡部), 粉川 敦史(横浜市立大市民総合医療センター・内視鏡部), 田中 克明(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センター), 前田 愼(横浜市立大・消化器内科)
抄録 【症例】77歳、男性【主訴】心窩部腫瘤【既往歴】高血圧【現病歴】心窩部腫瘤を自覚し近医を受診。腹部エコーで70mm台の腫瘤を認め当院を紹介受診した。【経過】腹部造影CTで辺縁が淡く染まり内部がlow densityを呈し、胃と肝に接する70×14mmの腫瘤を認めた。リンパ節腫大と肝転移も認めた。CEA7.6 ng/ml、CA19-9 16U/mlに対し、AFP27812ng/ml、PIVKA-2 7699mAU/mlと有意な上昇を認め肝外発育型のHCCの可能性も考えたが、EGDで胃体中部後壁から小弯を中心に大きな易出血性のtype3型胃癌を認め、生検の病理結果はAdenocarcinoma(por)であり、胃癌cT4N3M1 stage4と診断した。巨大な腹部腫瘤はリンパ節転移と考えた。化学療法も考慮したが胃癌の出血による貧血を認め、輸血とAPC焼灼術を施行するも全身状態が悪化し緩和医療の方針となった。その後永眠されご家族の同意を得て病理解剖を施行した。胃体中部後壁から小弯を中心に潰瘍を伴う15×7cm台のtype3型胃癌と漿膜下に20×15cmの巨大腫瘤を認めたが胃癌との連続はなく、リンパ節と考えられた。免疫組織化学では胃癌及び周囲リンパ節にHEP-PAR1がモザイク状に陽性となり、AFPは胃癌の低分化な充実性部分、転移リンパ節、脈管侵潤をしている腫瘍細胞にびまん性に陽性となった。このことから胃がんの低分化成分はAFP産生性の肝様腺癌で、リンパ節転移を来たしたと考えられた。この腫瘍がPIVKA-2も産生したと考えられた。多発肝転移は組織学的に胃癌の転移であった。【考察】肝様腺癌は高頻度に血管浸潤や肝転移を伴い予後不良である。本症例も症状自覚から死亡まで短期間であり、急速に悪化する胃癌診療の際には肝様腺腫も念頭に入れるべきである。【結語】巨大なリンパ節転移を契機に発見された胃原発AFP、PIVKA-2産生性肝様腺癌の1剖検例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝様腺癌, AFP