セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)十二指腸1 |
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タイトル | 消P-417:消化管濾胞性リンパ腫に対する内視鏡下生検の診断能に関する検討 |
演者 | 岩室 雅也(岡山大・消化器・肝臓内科) |
共同演者 | 岡田 裕之(岡山大病院・光学医療診療部), 高田 尚良(岡山大病院・病理診断科), 吉野 正(岡山大病院・病理診断科), 山本 和秀(岡山大・消化器・肝臓内科) |
抄録 | 【目的】近年、内視鏡医の認識の高まりに伴い、消化管濾胞性リンパ腫(FL)と診断される症例が増加しつつある。消化管FL症例のうち、初回の生検診断でFLとの診断に至らず、再生検でFLと診断される症例に遭遇することがあるが、このような症例の頻度は明らかとなっていない。今回われわれは、消化管FLに対する内視鏡下生検の診断能について検討した。 【方法】1996年1月から2011年12月までに当施設および関連施設において内視鏡下に消化管生検を行い濾胞性リンパ腫と診断された症例のうち、初回生検時の詳細な病理所見が参照可能であった48例(男性20例、女性28例、平均年齢65歳)を対象とし、初回生検時の病理診断名をretrospectiveに集計した。初回生検の診断名がFL以外であった症例については、FLとの診断に至った経過について検討した。 【成績】48例の臨床病期(Lugano分類)は、I期30例、II-1期4例、II-2期4例、IV期10例であった。生検部位は十二指腸41例、胃3例、直腸2例、回腸1例、結腸1例。このうち初回生検でFLと診断されたのは39例であり、他の診断名はMALTリンパ腫5例(十二指腸3例、胃2例)、壊死組織2例(胃1例、十二指腸1例)、十二指腸炎1例(十二指腸)、悪性リンパ腫疑い(病型の特定に至らず)1例(十二指腸)であった。初回生検時にMALTリンパ腫と診断された5症例のうち3例、および十二指腸炎・悪性リンパ腫疑いと診断された症例では、再生検時にCD10染色が実施されFLとの診断に至った。またMALTリンパ腫と診断された別の2症例では、CD10染色が部分的に陰性となっていた。壊死組織と診断された2例はいずれも肉眼的にびらん・潰瘍を呈しており、再生検や手術にてFLとの診断に至った。 【結論】消化管FL症例の診断においては、CD10染色を含めた免疫組織学的評価が重要である。一方、頻度は少ないがCD10染色が陰性となるFL症例や、びらん・潰瘍を呈するFL症例では生検病理診断が難しく、繰り返しの生検が重要と考えられた。 |
索引用語 | 悪性リンパ腫, 濾胞性リンパ腫 |