セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

十二指腸2

タイトル 消P-423:

H. pylori感染の有無別にみた、低用量アスピリン起因性十二指腸粘膜傷害の検討

演者 魚谷 貴洋(浜松医大・1内科)
共同演者 杉本 光繁(浜松医大・1内科), 佐原 秀(浜松医大・1内科), 山出 美穂子(浜松医大・1内科), 西野 眞史(浜松医大・1内科), 山田 貴教(浜松医大・1内科), 大澤 恵(浜松医大・1内科), 杉本 健(浜松医大・1内科), 古田 隆久(浜松医大・臨床研究管理センター)
抄録 【目的】高齢化社会に伴い抗血小板薬の使用頻度も増し、これらの消化管粘膜傷害も問題となっている。一方H. pylori (HP)感染は同様に消化管粘膜傷害の誘因の1つであるが、胃潰瘍と十二指腸潰瘍では発症頻度や重症度さらには患者背景が大きく異なり、その機序も異なるとされる。これまで我々は抗血小板薬とHP感染による胃粘膜傷害について報告してきたが、今回はこれまでの結果を踏まえた上で、十二指腸粘膜傷害について検討した。【方法】健常ボランティア39名 (HP陽性者12名、HP陰性者27名) に対し低用量アスピリン(LDA)100mg を連続7日間投与し7日目に上部消化管内視鏡検査と24時間胃内pHモニタリング検査(胃内pH)を施行した。これにより十二指腸粘膜傷害(びらん、出血)と胃酸分泌をLDAとHP感染の有無別に検査し、さらに十二指腸粘膜傷害と胃粘膜傷害(Modified LANZA score : MLS)を比較検討した。【成績】LDA投与後の十二指腸粘膜びらんは4名(HP陽性者1名、HP陰性者3名)に認めたが(p<0.05)、出血はみられなかった。十二指腸粘膜びらんと、HP感染の有無や胃内pHとの間に明らかな関連は認めなかった。胃粘膜傷害は92.3%( HP陽性者12名:100%、HP陰性者24名:88.9%)でみられたが、十二指腸粘膜傷害は10.3%であり、その頻度は有意に低値であった(p<0.05)。HP陰性者のみの検討したところ、胃内pHは同様の結果であったが、十二指腸びらんあり群が十二指腸びらんなし群よりも、胃粘膜傷害が高い傾向を認めた(十二指腸びらんあり群:3.0(1.0-3.3)、十二指腸びらんなし群:1.3(0-5))。【結論】LDAによる十二指腸粘膜傷害は胃粘膜傷害と比較し有意に少なかったが、HP感染の有無や胃内pHとの間に明らかな関連は見出せなかった。一方、十二指腸粘膜びらんを認めた群は胃粘膜傷害を合併する傾向を認めた。
索引用語 薬剤性消化管傷害, 十二指腸