セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

十二指腸2

タイトル 消P-425:

内視鏡的乳頭切開術が有効であった十二指腸乳頭機能不全の3例

演者 梅舟 仰胤(東京警察病院・消化器科)
共同演者 松原 三郎(東京警察病院・消化器科), 徳山 信行(東京警察病院・消化器科), 須山 由紀(東京警察病院・消化器科), 鈴木 剛(東京警察病院・消化器科), 小椋 啓司(東京警察病院・消化器科)
抄録 【症例】症例1は51歳女性。数年前から胆道系酵素上昇を伴う腹痛発作を繰り返しては自然軽快していた。胆嚢摘出術の既往はない。画像検査でも胆管内に明らかな腫瘍・結石等の閉塞機転を認めなかったため、十二指腸乳頭機能不全が疑われた。治療としては、まず内視鏡的に胆管ステントを留置し、その後腹部症状が起こらなくなったのを確認してから、二期的に内視鏡的乳頭切開術を行った。その後も腹部症状なく経過している。症例2は66歳女性。3年前に胆嚢摘出術を施行、その後より原因不明の上腹部痛発作を繰り返すようになった。画像診断では胆管内に明らかな結石・腫瘍等の閉塞機転を認めず、十二指腸乳頭機能不全が疑われた。なお、胆道系酵素の上昇は認めなかった。治療としては、内視鏡的乳頭切開術を一期的に施行する方針とした。術中偶発症として出血をきたすも、胆管ステント留置による圧迫にて止血をはかり、1週間後に胆管ステントを抜去、その後は腹部症状なく経過している。症例3はここでは割愛する。【考察】乳頭機能不全は乳頭括約筋の狭窄、痙攣、運動障害により胆汁および膵液流出が妨げられて、胆道痛、再発性胆管炎、膵炎を惹起する病態である。中年の女性に多く、大半は胆嚢摘出後におこる。見逃されやすい疾患であり、原因不明の上腹部痛の鑑別疾患として常に留意しておく必要がある。鑑別として非露出型乳頭部癌があがり、否定する必要がある。milwaukee分類による診断基準があり、胆道痛に加えて、肝機能異常、総胆管拡張、造影剤排泄遅延の3つのパラメーターにより3つの病型に分類されている。文献的には、乳頭内圧に応じて治療方針を選択すべきとなっているが、一般病院で乳頭内圧を測定するのは非現実的である。実際の治療法としては、内視鏡的乳頭切開術が中心とされているが、一期的に行うか二期的に行うかに関しては一定の見解はない。抗コリン剤による薬物治療も推奨されている。
索引用語 乳頭機能不全, 内視鏡的乳頭切開術