セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

十二指腸2

タイトル 消P-426:

診断に苦慮した十二指腸狭窄症例3例の検討

演者 島田 友香里(西神戸医療センター・消化器科)
共同演者 荒木 理(西神戸医療センター・消化器科), 村上 坤太郎(西神戸医療センター・消化器科), 津田 朋広(西神戸医療センター・消化器科), 佐々木 綾香(西神戸医療センター・消化器科), 安達 神奈(西神戸医療センター・消化器科), 林 幹人(西神戸医療センター・消化器科), 井谷 智尚(西神戸医療センター・消化器科), 三村 純(西神戸医療センター・消化器科), 橋本 公夫(西神戸医療センター・病理科), 京極 高久(西神戸医療センター・外科)
抄録 【症例1】40歳代男性【現病歴】特に誘因なく食後の嘔吐を繰り返すようになり当院を受診。上部消化管内視鏡検査(以下EGD)で十二指腸下行脚に発赤の強い全周性狭窄を認めた。腹部造影CT検査では、同部に浮腫性変化を認めた。生検で悪性を示唆する所見を欠くため1か月間保存的加療をしたが、改善を認めなかったため腹腔鏡下胃空腸バイパス手術を施行。術中所見でも悪性所見は認めず。その後は経過良好であったが術後3か月目のEGDにて狭窄は改善しておらず、生検でsignet ring cell carcinomaの浸潤が判明。明らかな遠隔転移を認めなかったため外科にて膵頭十二指腸切除術、横行結腸部分切除術が施行された。術後化学療法を追加し明らかな再発は認めていない。【症例2】60歳代男性【現病歴】大酒家。食後に嘔吐を繰り返すようになり当科を受診。EGDで十二指腸下行脚に発赤の強い全周性狭窄を認めたが生検で悪性所見は認めなかった。腹部造影CT検査で膵頭部に石灰化を伴った嚢胞性病変と、groove領域の浮腫性変化、十二指腸に全周性の壁肥厚を認めた。保存的加療を行っても経口摂取が困難であったため胃空腸バイパス手術を予定していたが術前になり経口摂取が可能になったため手術は中止。断酒を指導して退院となった。【症例3】50歳代男性【現病歴】頻回の嘔吐を主訴に当院を紹介受診。EGDでは十二指腸下行脚に発赤の強い全周性狭窄を認めた。腹部造影CT検査では膵背側から右前腎傍腔に高吸収域を認め、後下膵十二指腸動脈に動脈瘤を認めた。高吸収域は、この動脈瘤が原因の血腫と考えられた。保存的加療を行い、1か月後に経口摂取が可能となった。【考察】十二指腸狭窄症の原因の多くは先天的異常とされているが、成人期以降の発症では様々な原因を考慮する必要がある。今回、診断に苦慮した原因の異なる十二指腸狭窄症を3例経験したため文献的考察を加えて発表する。
索引用語 十二指腸, 狭窄