セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

十二指腸2

タイトル 消P-428:

膵頭部の後腹膜出血後に十二指腸通過障害を来たした5例の検討

演者 安部 真(広島市民病院・内科)
共同演者 平尾 謙(広島市民病院・内科), 小川 恒由(広島市民病院・内科), 二宮 悠樹(広島市民病院・内科), 澤原 大明(広島市民病院・内科), 大江 啓常(広島市民病院・内科), 中川 昌浩(広島市民病院・内視鏡科), 水野 元夫(広島市民病院・内科)
抄録 【背景】膵炎後仮性動脈瘤破裂などによる後腹膜出血後には、しばしば十二指腸通過障害が発症するとの報告があるが、今回その臨床的特徴について検討した。【対象】2007年1月から2011年12月の期間に、後腹膜出血にて救急外来を受診した5症例。【成績】年齢は平均53.2歳(42-73)、全例が男性であった。主訴は腹痛3例、意識消失発作1例、ショック意識障害1例。来院時2例にのみHbの低下を認め平均12.9g/dl(8.4-18.5)であった。全例CTを施行され膵頭部を中心とした後腹膜出血と診断された。1例(常習飲酒者)で膵炎を合併し、1例(抗血小板薬服用者)で脳出血の合併を認めた。全例血管造影検査が施行され、出血源が同定できた4例(膵十二指腸動脈の仮性動脈瘤3例、破綻が1例)で塞栓術が施行された。出血原因は、仮性動脈瘤を認めた1例が腹腔動脈起始部の狭窄を認め、膵十二指腸動脈への代償性血流負荷の関与が示唆された。その他2例は膵炎の既往があり、動脈の脆弱化が示唆された。十二指腸通過障害は1例のみが第2病日の早期発症で、残り4例は第10病日以降(10-15)の遅発性発症であった。早期発症では血腫サイズは6cmと小さいが緊満感のある形態であり、機械的な圧迫で十二指腸が狭窄したと考えられた。一方、遅発性発症では血腫サイズは平均12cm(11-14)と大きいが後腹膜腔に拡がる形態で、全例が血腫退縮期に発症しており、血腫の線維化も影響していると考えられた。脳出血を合併していた症例は遅発性の通過障害から誤嚥性肺炎を合併し永眠されたが、その他の症例では保存的に改善し、絶食期間は早期発症27日、遅発性発症は平均14日(7-21)であった。【結論】膵頭部の後腹膜出血はしばしば遅発性に十二指腸通過障害を来し誤嚥性肺炎などの重篤な合併症を来たしうるため、止血後も慎重な経過観察が必要と考えられた。
索引用語 後腹膜出血, 十二指腸通過障害