セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸(基礎)

タイトル 消P-429:

アスピリン起因性小腸粘膜傷害における上皮細胞透過性亢進の機序ならびに予防薬の検討

演者 福居 顕文(京都府立医大・消化器内科)
共同演者 半田 修(京都府立医大・消化器内科), 辻 俊史(京都府立医大・消化器内科), 久貝 宗弘(京都府立医大・消化器内科), 寄木 浩行(京都府立医大・消化器内科), 鎌田 和浩(京都府立医大・消化器内科), 堅田 和弘(京都府立医大・消化器内科), 内山 和彦(京都府立医大・消化器内科), 高木 智久(京都府立医大・消化器内科), 八木 信明(京都府立医大・消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医大・消化器内科)
抄録 【目的】低用量アスピリン(Low dose aspirin:以下LDA)は脳・心疾患の二次予防に対し有用であり、高齢化社会を迎えた本邦において、今後も長期投与が必要な薬剤である。一方、LDAは小腸粘膜傷害を引き起こすことが報告されている。しかし、その機序は未だ不詳であり、予防法に関しても確立していない。以前より、LDAを除く非ステロイド性抗炎症薬(従来型NSAIDs)の小腸粘膜傷害の機序は、粘膜透過性亢進に始まり、腸内細菌や胆汁酸の粘膜内侵入から炎症反応が惹起されると報告されている。我々は、LDA起因性の小腸粘膜傷害においても従来型NSAIDsと同様の現象が起こっているという仮説を立て、上皮細胞透過性亢進の機序を検討した。【方法】正常小腸上皮細胞として分化Caco-2細胞を用い、細胞死を惹起しない濃度のLDAを添加し以下の検討を行った。1.Transwellに培養したCaco-2にLDAを添加し上皮細胞透過性を評価した。2.上皮細胞間のTight Junction(TJ)構成蛋白の経時的発現変化を評価した。3.LDA投与後の酸化ストレス産生について評価した。4.上記の実験系にMn-SOD模倣薬を添加し、それぞれに与える影響を比較検討した。5.免疫沈降法を用いてTJ蛋白の酸化修飾を証明した。6.抗酸化作用を有する各種胃粘膜保護薬(レバミピド、ポラプレジンク、イルソグラジン)を用いて、その小腸粘膜保護薬としての可能性について検討した。【結果】設定濃度のLDA添加で、細胞死非依存性の1.小腸上皮細胞間の透過性亢進 2.TJの裏打ち蛋白であるZO-1の経時的な発現低下 3.酸化ストレス産生亢進を認めた。4.Mn-SODにより前述の反応は抑制された。5.ZO-1のシステイン残基はLDAにより酸化修飾をうけていた。6.各種胃粘膜保護薬はMn-SODと同様の結果を認めた。【結論】LDAによる小腸上皮細胞透過性の亢進にはZO-1の酸化修飾が関与しており、Superoxideがその予防のターゲットとなる可能性が示唆された。
索引用語 アスピリン, 上皮細胞透過性亢進