セッション情報 シンポジウム8(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

NASHからの発癌:基礎と臨床

タイトル 肝S8-5:

NASH肝発癌に対する直接的レニン阻害薬の抑制効果

演者 相原 洋祐(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科)
共同演者 吉治 仁志(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 福井 博(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科)
抄録 【目的】肝癌の進展に血管新生は必須であり、我々はこれまでにACE阻害薬、ARBなどのangiotensin-II (AT-II) 阻害薬が血管新生を阻害し、NASH肝発癌を抑制することを報告してきた。近年、レニンに対する直接的阻害薬 (DRI)が高血圧治療薬として認可され、Renin-angiotensin (RA)系の上流阻害の薬理効果が注目される。今回DRIのNASH肝発癌抑制効果について、肝内RA系、血管新生との関わりを中心に解析した。【方法】F344雄性ラットにコリン欠乏アミノ酸 (CDAA) 食を12週間投与して実験的NASH肝発癌モデルを作製し、GST-P陽性前癌病変の数と面積に及ぼすDRI(Aliskiren 50mg/kg/day、100mg/kg/day)経口投与の効果を対照群と比較した。血管新生はCD31 mRNAおよびVEGF mRNAを指標として評価し、肝内のAT-II、レニン受容体発現レベルについても解析を加えた。In vitro実験系では、レニンの血管内皮細胞 (EC) 増殖に及ぼす影響について検討すると共にDRIの直接作用についても検討を加えた。【成績】DRI投与により前癌病変の数、面積はともに用量依存性に有意に抑制され、平行するように肝内のCD31 mRNA、VEGF mRNA の発現は低下していた。なお、CDAA食投与による肝組織内のAT-II発現増強はDRI投与により有意に抑制されたが、レニン受容体発現レベルには変化を認めなかった。In vitro の検討において、レニンはECの増殖を有意に促進させたが、DRIはこれを抑制しなかった。【結語】レニンは血管新生を促進してNASH肝発癌過程に重要な役割を果たしている。今回DRIが著明なNASH肝発癌抑制効果を示したことから、将来レニンをターゲットにした治療がNASH肝発癌予防に臨床応用できる可能性が示唆された。その作用機序として、肝内AT-II阻害によるVEGFを介した血管新生抑制が考えられた
索引用語 NASH, 発がん