セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)小腸(基礎) |
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タイトル | 消P-431:パイエル板はNSAIDs起因性小腸粘膜傷害に保護的に働く |
演者 | 日山 智史(大阪大大学院・消化器内科学) |
共同演者 | 飯島 英樹(大阪大大学院・消化器内科学), 白石 衣里(大阪大大学院・消化器内科学), 向井 章(大阪大大学院・消化器内科学), 井上 隆弘(大阪大大学院・消化器内科学), 中島 佐知子(大阪大大学院・消化器内科学), 新崎 信一郎(大阪大大学院・消化器内科学), 辻井 正彦(大阪大大学院・消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学) |
抄録 | 【目的】近年、NSAIDs服用者の増加に加え、小腸内視鏡、カプセル内視鏡の出現によりNSAIDs起因性小腸粘膜傷害が注目を集めているが、腸管免疫との関連に関する報告は少ない。パイエル板には抗原の取り込みに特化したM細胞が存在し、腸管関連リンパ組織(GALT)において免疫誘導の中心的な役割をはたしている。我々はNSAIDs起因性小腸粘膜傷害におけるパイエル板の役割に関して、腸管免疫の制御に大きな役割を果たすと注目を集めるCD103+樹状細胞(DC)に着目し検討を行った。【方法】(1)8-11週齢のBALB/cマウスにインドメタシン(IND)7.5mg/kgを皮下注射し、小腸粘膜傷害を生じさせた。その際のパイエル板や腸間膜リンパ節(MLN)、粘膜固有層(LP)から単核球を分離し、細胞分画の変化やサイトカイン発現の変化をFACSにて測定した。(2)IND投与により小腸粘膜傷害を惹起させたマウスのMLNよりCD103+DC、CD103-DCをそれぞれFACSにて単離し、脾臓より単離したNaive CD4+T細胞と共に抗CD3抗体、LPS、IL-2の刺激下で4日間共培養を行い、CD4+T細胞のIL-10産生を細胞内染色を用いて検討した。(3)妊娠14.5日の野生型マウスに抗IL-7Rα抗体を静注して作成したパイエル板欠損マウスを用いてIND投与24時間後の小腸粘膜傷害に関して野生型群と比較した。【成績】(1)IND投与により、パイエル板、MLNにおいてCD103+DCは増加しており、同時にLPにおいてはIL-10産生CD4+T細胞の増加を認めた。(2)CD103+DCと共培養したNaive CD4+T細胞はCD103-DC群と比してIL-10産生が増強していた。(3)パイエル板欠損マウス群では野生型群と比較し、有意に粘膜傷害が増悪した。またMLNにおけるCD103+DCの頻度はパイエル板欠損群で野生型群と比し低値であり、LPにおけるIL-10産生CD4+T細胞も野生型群と比して減少していた。【結論】パイエル板はNSAIDs起因性小腸粘膜傷害に対し、GALTにおけるCD103+DCやIL-10産生CD4+T細胞を介して保護的に働いていると考えられた。 |
索引用語 | パイエル板, NSAIDs |