共同演者 |
内山 和彦(京都府立医大・消化器内科), 稲田 裕(京都府立医大・消化器内科), 福田 亘(京都府立医大・消化器内科), 飯田 貴弥(京都府立医大・消化器内科), 上原 有紀子(京都府立医大・消化器内科), 辻 俊史(京都府立医大・消化器内科), 寄木 浩行(京都府立医大・消化器内科), 福居 顕文(京都府立医大・消化器内科), 水島 かつら(京都府立医大・消化器内科), 堅田 和弘(京都府立医大・消化器内科), 鎌田 和浩(京都府立医大・消化器内科), 高木 智久(京都府立医大・消化器内科), 半田 修(京都府立医大・消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】MDR-1は多剤耐性獲得の機序として発見されたトランスポーターであるが,その基質の多様性から様々な病態への関与が近年示唆されている.近年、高齢化社会を背景としたNSAIDsや低用量aspirinの使用量が増加するに従いその消化管粘膜傷害が臨床上の重要な問題となっている.AspirinはMDR-1遺伝子発現を誘導していることも報告されているが,NSAIDsやaspirinの腸管上皮細胞傷害とMDR-1の関連に関しては今までに報告に乏しい.そこで本検討ではaspirinで誘導される腸管上皮細胞傷害に対するMDR-1の関与を培養細胞を用いて検討した.【方法】ヒト腸管上皮細胞株CaCO-2細胞に対し、MDR-1の阻害剤であるverapamilを前投与し、aspirin(0, 5, 10, 20mM)投与24時間後における細胞活性をWST-8 assayを用いて検討した。また、MDR-1遺伝子をクローニングしたpcDNA 3.0ベクターをCaco-2細胞に遺伝子導入し恒常的にMDR-1を過剰発現するCaco-2細胞に対しても同様のaspirin刺激をおこない,細胞活性を検討した。また機能解析としてC14にてラベルされたアスピリンを用いて膜透過性実験を行った.【結果】verapamilを前投与したCaco-2細胞群は非投与群に比べてaspirin投与24時間後の細胞活性は有意に低下していた.またMDR-1過剰発現Caco-2細胞はコントロール細胞と比べてaspirin投与24時間後の細胞活性は有意に高い値であった。膜透過性実験においてはアスピリンがMDR1の基質である可能性が示唆される結果となった.【結語】aspirin誘導性腸管上皮細胞傷害は、Caco-2におけるMDR-1を阻害すると増悪し、MDR-1過剰発現にて軽減し,MDR-1がaspirinによる腸管上皮細胞傷害の病態に関与していることが示唆される結果であった. |