セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸(臨床)1

タイトル 消P-437:

癒着性腸閉塞Adhesional small bowel obstruction(ASBO)患者の保存的治療と緊急手術適応におけるCT診断の有用性の検討

演者 工藤 康一(済生会熊本病院・消化器病センター)
共同演者 多田 修治(済生会熊本病院・消化器病センター), 吉田 健一(済生会熊本病院・消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院・消化器病センター), 江口 洋之(済生会熊本病院・消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院・消化器病センター), 東 孝暁(済生会熊本病院・外科センター), 山村 謙介(済生会熊本病院・外科センター), 井上 光弘(済生会熊本病院・外科センター), 山本 謙一郎(済生会熊本病院・外科センター), 井上 耕太郎(済生会熊本病院・外科センター), 金光 敬一郎(済生会熊本病院・外科センター)
抄録 【目的】癒着性腸閉塞(ASBO)は,急性期病院において遭遇する機会の極めて多い疾患である.しかし,ASBOを保存的に治療するか,手術を行うかの判断は難渋することが多い.今回,自験例を対象に,保存的治療と緊急手術の適応の判断基準について検討した.【対象と方法】2010年1月から2011年12月の2年間で,当院にASBOの診断で緊急入院となった患者172名を対象とした.再発で複数回入院した患者が19名あったが,初回入院時データを用いて解析を行った.172名中,113名が保存的治療で改善し,59名が手術を必要とした.保存的治療群(A)と手術群(B)において,年齢,性,自覚症状,理学所見,血液検査,CT所見について,2群間の単変量解析を行ったのち,多変量解析で手術となる独立危険因子を検討した.【結果】2群間比較(A:B)で有意差を認めた項目は,年齢(69.2歳:75.0歳),性(女性39%:69%),腹部膨満(42%:68%),SIRS(24%:46%),PCO2(35mmHg:31mmHg),BE(0.4:-2.4),アルブミン(4.2g/dL:3.9g/dL),乳酸(15.9:25.5),CTの鏡面像(89%:72%),腹水(7%:40%),腸壁肥厚(15%:28%),beak sign(53%:76%),radial distribution(27%:34%),whirl sign(20%:40%),腸管壁の造影不良(11%:40%)であった.多変量解析では,腹水:オッズ比15.3(2.8~85.2,p=0.001)と,radial distribution:オッズ比8.3(1.7~39.0,p=0.005)が独立危険因子であった.【結論】ASBO患者の手術のタイミング決定には,年齢,性,自覚症状,理学所見,血液検査に加え,CTでの腹水出現,radial distributionの有無を総合して迅速に判断する必要がある.
索引用語 癒着性腸閉塞, 手術適応