抄録 |
【目的】化学療法時の小腸穿孔の報告もあり,悪性リンパ腫小腸浸潤の診断は重要である.DBEにて評価可能であった小腸(空腸・回腸)病変に対して検討した.【対象】2004年3月より2011年12月までに悪性リンパ腫患者に対しDBEを施行した65例を対象とした.【成績】34例で小腸(空腸・回腸)病変を認めた.検査契機は上下部内視鏡にて消化管病変を指摘された21例(5例は大腸内視鏡検査時に回腸病変を指摘),他画像検査にて指摘された15例,腹部症状を認めた14例であった(重複あり).Clinical Stage(CS)I3例,CSII5例,CSIII4例,CSIV22例であった.病理組織はfollicular lymphoma(FL)15例, diffuse large B-cell lymphoma(DLBCL)9例,Mantle cell lymphoma(MCL)4例,Enteropathy-associated T-cell lymphoma(ETL)2例,T-lymphoblastic lymphoma(TLL) 1例,T-cell prolymphocytic leukemia(TPL)1例,MALT1例,Anaplastic large call lymphoma(ALCL)1例であった. 肉眼型は潰瘍型11例(DLBCL8例,FL2例,TLL1例), MLP型5例(FL3例,MCL2例),隆起型5例(FL5例),びまん浸潤型+潰瘍型4例(ETL2例,MALT1例,ALCL1例),びまん浸潤型+隆起型1例(DLBCL),びまん浸潤型1例(TPL),隆起+MLP型6例(FL5例,MCL1例),MLP+潰瘍型(MCL1例)であった.単発病変6例,多発病変22例,びまん性病変6例であった.化学療法中に3例穿孔し,全例潰瘍型のDLBCLであり,2例は手術加療にて回復,1例は術後偽膜性腸炎にて死亡した.1例化学療法中のDLBCLの潰瘍型の患者で回腸瘻を認めた.化学療法に先行して4例で穿孔が危惧され,2例が腸閉塞にて手術加療した. 9例で化学療法投与量を減量した.経過観察のDBEは8例で施行され6例で改善が確認,増悪した2例で治療法を変更した.6例がDBEによってのみ診断が可能となった. CR/CRu rateは54.5%であった.偶発症は4例に認め,いずれも肺炎であった.【結論】組織型,内視鏡所見は多彩であった.化学療法時の穿孔症例も存在し,小腸病変の評価は治療方針の決定のため重要である. |