共同演者 |
大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 中村 正直(名古屋大大学院・消化器内科学), 水谷 太郎(名古屋大大学院・消化器内科学), 山村 健史(名古屋大大学院・消化器内科学), 山田 弘志(名古屋大大学院・消化器内科学), 名倉 明日香(名古屋大大学院・消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 大野 栄三郎(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 宮原 良二(名古屋大大学院・消化器内科学), 川嶋 啓揮(名古屋大大学院・消化器内科学), 伊藤 彰浩(名古屋大大学院・消化器内科学), 廣岡 芳樹(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 渡辺 修(名古屋大大学院・消化器内科学), 安藤 貴文(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学DELIMITER名古屋大附属病院・光学医療診療部) |
抄録 |
【目的】当院におけるNSAIDs/LDA起因性小腸傷害の臨床病理学的特徴や代謝酵素遺伝子多型との関連について検討を行う。【方法】対象は2003年6月~2011年12月に当院でDBEを施行したNSAIDs/LDA内服患者121例(LDA 55例,NSAIDs51例,併用群15例)(年齢67.4±11.0歳、男/女=68/53)。CYP2C9遺伝子多型の解析はTaqManPCR法を用いた。【結果】検査契機は出血 104例,腸閉塞10 例,その他7例。DBEで90例に小腸病変を認め、その内訳は潰瘍性病変47例、血管性病変25例、腫瘍性病変16例であった。NSAIDs/LDA起因性小腸傷害と診断したのは31例(LDA 6例、NSAIDs 16例、併用群9例)で、膜様狭窄は8例あった。薬剤別小腸病変発生率はロキソプロフェン(26%)がジクロフェナク(60%)、メロキシカム(71%)に比し低頻度であった。DBE下生検は21例で施行し、3例(14%)にapoptosis小体、細胞崩壊像を認めた。NSAIDs内服患者のうちプロトンポンプ阻害剤(PPI)の長期併用は27例あり、NSAIDs起因性小腸傷害例では、非傷害例に比べてPPI内服のオッズ比は2.09(95%CI:0.76‐5.78,P=0.152)であった。内視鏡治療は膜様狭窄8例中7例にDBE下バルーン拡張術を行い、1例は外科切除を施行した。膜様狭窄群8例中5例はメロキシカム内服例で、非狭窄群と比較して有意に高率であった(P<0.001)。またNSAIDs起因性小腸傷害17例(膜様狭窄7例中)のCYP2C9の遺伝子多型を解析すると、膜様狭窄の2例でCYP2C9*3アレル(*1/*3が1例、*3/*3が1例)を保有し、コントロール435例と比較して有意に高率であった(P=0.039)。【結論】DBEはNSAIDs/LDA起因性小腸傷害の診断および治療に有用であった。NSAIDs/LDA起因性膜様狭窄の発生にメロキシカムとCYP2C9遺伝子多型が危険因子であることが推測された。 |