セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
小腸(症例報告)1
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タイトル |
消P-448:上腸間膜動脈閉塞症3例の臨床的特徴についての検討
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演者 |
平野 達也(翠明会山王病院・内科) |
共同演者 |
有本 央(翠明会山王病院・内科), 千代田 亘弘(翠明会山王病院・内科), 坂上 信行(翠明会山王病院・内科), 荻原 壮一郎(翠明会山王病院・内科), 谷嶋 隆之(翠明会山王病院・内科), 三橋 修(翠明会山王病院・内科), 小川 健(翠明会山王病院・内科), 友野 寛樹(翠明会山王病院・内科), 夏木 豊(翠明会山王病院・内科), 小林 茂雄(翠明会山王病院・健康管理センター) |
抄録 |
【目的・方法】本症の特徴を明らかにするため、当院で経験した3例につき背景・診断・治療・臨床経過の検討を行った。【背景】平均年齢:79歳、基礎疾患:心房細動3例、心不全1例、高血圧・狭心症1例 内服薬:ワーファリン1例、アスピリン2例、ジゴキシン3例【症状】突然の激しい腹痛3例(食後発症2例、上腹部痛2例、腹膜刺激症状0例)、血便1例。【血液検査】WBC上昇3例、 LDH上昇 3例、CPK軽度上昇1例、CRP軽度上昇 (2.6mg/dl) 1例、代謝性アシドーシス2例。【造影CT】全例当検査での上腸間膜動脈内の陰影欠損により本症と診断。閉塞部位は中結腸動脈よりも末梢の右結腸動脈、空腸動脈分岐付近。腸管浮腫像1例、脾・右腎梗塞併発1例。【大腸内視鏡】2例施行。上行結腸縦走傾向発赤1例、上行結腸輪状傾向潰瘍1例。【初期治療】ヘパリンによる抗凝固療法3例(発症後各40, 6, 4時間後)、ウロキナーゼによる経動脈血栓溶解療法2例(発症後各8, 26時間後より3, 2日間)、イレウス管留置1例。全例で疼痛消失、血流改善。急性期の腸切除例なし。摂食開始:平均第14.3日。【合併症・有害事象】小腸狭窄・イレウス症例は第73病日小腸切除術施行。小腸が以前の開腹術(胃癌・大腸癌・前立腺癌)の正中創に癒着し約10cm長の狭窄、病理学的に全層性肉芽形成、収縮性変化認めた。本例は発症約2か月後敗血症、化膿性脊椎炎も合併。他に右後腹膜血腫1例(第5病日。ヘパリン中止と輸血)、突然の心肺停止1例(第23病日。CPR施行も死亡) が見られた。【まとめ】高齢者、心房細動が高リスクと考えられる。診断には造影CTが大変有用である。閉塞部位が中結腸動脈分岐よりも末梢であり、このような症例は緊急手術回避しうるものと思われた。治療については基礎疾患の管理、出血事象、カテーテル留置に伴う血流感染症などの有害事象に注意が必要である。 |
索引用語 |
上腸間膜動脈閉塞症, 血栓溶解療法 |