セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸(症例報告)1

タイトル 消P-449:

当院で経験した腸管気腫症の検討

演者 永嶋 裕司(玉川病院・消化器内科)
共同演者 安田 正俊(玉川病院・消化器内科), 三浦 富宏(玉川病院・消化器内科), 岩崎 将(玉川病院・消化器内科), 佐藤 康(玉川病院・外科), 川村 徹(玉川病院・外科), 中嶋 昭(玉川病院・外科), 三浦 妙太(玉川病院・病理部), 吉田 寛(日本医大多摩永山病院・外科), 内田 英二(日本医大大学院・臓器病態制御外科学)
抄録 【はじめに】腸管気腫は腸管壊死の徴候として知られ,緊急手術の適応となることの多い比較的稀な疾患である.今回,当院で経験した腸管気腫症の3例を若干の考察を加えて報告する.【症例1】85才女性.既往歴は大腸癌,高血圧.嘔吐,腹痛を主訴に来院.腹部レントゲンで多量の小腸ガスを認め,CTで門脈ガスと小腸の拡張と腸管気腫を認めた.腸管壊死を疑い緊急手術を施行した.漿液性の腹水と十二指腸水平脚より上行結腸まで広範囲に壊死をきたしており,上腸間膜動脈血栓症と診断し,小腸全摘,右半結切除術を施行した.術後短腸症候群となるも中心静脈栄養管理で全身状態委は安定し第49秒日に転院となった.【症例2】46才男性.食欲不振,嘔吐,不穏を主訴に来院.1型糖尿病にてインシュリン治療中.来院時随時血糖974尿中ケトン体(+)で糖尿病性ケトアシドーシスと診断し入院となる.翌日腹満と腹痛が出現し,CTにて門脈ガスと腸管気腫を認めた.緊急手術も考慮したが,全身状態不良のため,保存的加療を行うも,第4病日容態急変し永眠され,死後病理解剖施行した.腸管は分節状に粘膜壊死を認めたが,筋層,漿膜面は保たれていて,虚血性小腸炎と考えられた.【症例3】90才女性.胃瘻造設で経管栄養中.腹満,腹痛を主訴に来院.既往歴は大腿骨頸部骨折,肺炎.レントゲンで小腸ガスと上行結腸の拡張を認め,CTでは上行結腸を中心に腸管気腫を認めた.高齢で,腹部所見,全身状態安定していたため保存的治療にて経過観察した.その後は中心静脈栄養にて管理中だが、状態は安定している.腸管内圧の上昇に伴う腸管気腫と考えられた.【考察】腸管気腫症は腸管壊死の示唆する所見で,緊急手術の適応とされてきたが,文献的にも保存的に軽快した症例も報告されている.全身状態や検査所見などより総合的に治療方針を決定することが重要であると考えられた.
索引用語 腸管気腫症, 門脈ガス