共同演者 |
岡田 一幸(市立吹田市民病院・外科), 牧野 俊一郎(市立吹田市民病院・外科), 加藤 亮(市立吹田市民病院・外科), 西垣 貴彦(市立吹田市民病院・外科), 大和田 善之(市立吹田市民病院・外科), 村上 昌裕(市立吹田市民病院・外科), 柳沢 哲(市立吹田市民病院・外科), 岡村 修(市立吹田市民病院・外科), 村田 幸平(市立吹田市民病院・外科), 横内 秀起(市立吹田市民病院・外科), 玉井 正光(市立吹田市民病院・臨床病理部), 衣田 誠克(市立吹田市民病院・外科) |
抄録 |
【はじめに】小腸GIST術後に多発肝転移を生じたが、イマチニブ内服にて長期生存中の2例を経験したので報告する。【症例1】76才、女性。1993年11月、小腸間膜腫瘍に対して腫瘍摘出術を施行した。病理組織はleiomyosarcoma in the mesenterium (well differentiated)であった。1998年、1999年、2000年、2001年に肝転移再発を生じたため、それぞれ肝部分切除術(S3,S5,S6)、MCT(S7/8)、MCT(S2,S7/8)および肝部分切除術(S4,S8,S6/7)を施行した。2003年、再び肝再発が認められたが再手術を拒否された。過去の標本を再検査したところc-kitが陽性であり、小腸間膜原発のGIST多発肝転移と診断された。直ちにイマチニブ400mg/日の内服を開始したところ著明な効果がみられ、3年間CRとなった。本人の希望にてイマチニブを休薬したが、2007年に肝S4、S8に再発がみられたためイマチニブ内服を再開した。現在、イマチニブ400mg/日にて肝転移病巣は嚢胞変性状態となっている。また重篤な副作用はみられていないが、少量の心嚢液貯留があり、利尿剤を併用している。【症例2】73才、男性。2003年10月、小腸腫瘍に対して小腸部分切除術、横行結腸部分切除術、左腎摘出術を施行した。病理組織はc-kitが陽性でGISTと診断された。術後補助治療は希望されず、外来にて経過観察していたが、2005年10月に多発肝転移再発を生じた。イマチニブ400mg/日の内服を開始した。現在1週内服、1週休薬にてイマチニブ内服を継続し、肝再発後6年5カ月CRとなっている。また副作用はみられていない。【まとめ】MiettinenのGISTリスク分類によれば小腸GISTは比較的悪性度が高い。GISTに対しては外科的な完全切除が有効であるが、イマチニブなどの薬剤治療を組み合わせることにより長期間の病勢コントロールが可能と考えられる。 |