セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸(症例報告)1

タイトル 消P-451:

小腸アニサキス症;当院で経験した12例の臨床的特徴

演者 泉谷 幹子(東京都済生会中央病院・消化器内科)
共同演者 瀧田 麻衣子(東京都済生会中央病院・消化器内科), 松原 恵理(東京都済生会中央病院・消化器内科), 岸野 竜平(東京都済生会中央病院・消化器内科), 高山 哲朗(東京都済生会中央病院・消化器内科), 岩崎 栄典(東京都済生会中央病院・消化器内科), 中澤 敦(東京都済生会中央病院・消化器内科), 岩淵 雄(東京都済生会中央病院・放射線科), 森 徹(東京都済生会中央病院・放射線科), 金田 智(東京都済生会中央病院・放射線科), 塚田 信廣(東京都済生会中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】アニサキスは魚介類の生食によりヒトの消化管に取り込まれ、粘膜に刺入すると腹痛・嘔吐を来たす。症状は激しく、急性腹症の1つとして日常臨床で遭遇することが多い疾患である。胃壁に侵入することが多いが(93.4%)小腸粘膜に刺入することもあり、下腹部痛、腸閉塞をきたす。その診断は原因となる魚介類の摂食があったかという問診とCTや超音波の画像診断で行う。当院で経験した12例よりその臨床的特徴を検討した。【方法】2005年より2012年までの7年間で12例の小腸アニサキス症を経験した。診断は問診の他、画像診断で行い、補助的にアニサキス抗体価を利用した。原因食物の摂取から症状発現までの時間、主訴、初期診断、採血結果、画像的特徴を検討した。【成績】12例の平均年齢は46歳(16-63)、男女比は10:2と男性が多かった。全例とも主訴は腹痛であった。原因と思われる食物の摂取後平均7時間(2-48)で腹痛を認めた。受診時の腹部単純写真で小腸ガスおよびニボーを形成し、腸閉塞と初期診断された例は10であった。全例が入院後施行したCTもしくは超音波で限局性の小腸の浮腫性肥厚と口側の拡張を認めた。画像的に虫体が確認されたのは2例であった。採血上の異常値は白血球とCRPに現れ、白血球数は平均9408/μl(6800-16000)、CRPは平均3.005mg/dl(0.3以下-7.74)であった。抗アニサキス抗体価が陽性であった症例は7例でであった。また、胃にも症状を認めた症例は12例中にはなかった。【結論】小腸アニサキス症は腹痛を主訴とし、腸閉塞を来たす病態の一つとして見逃せない。魚介類の摂取後48時間以内に腹痛が出現し、単純レントゲンで小腸閉塞を認めた際に鑑別疾患として挙げられる。診断として有効な検査は腹部超音波検査で、粘膜下のトウモロコシ様の浮腫性肥厚と口側の拡張が)特徴的である。
索引用語 アニサキス, 超音波診断