セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
小腸(症例報告)1
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タイトル |
消P-454:セリアック病の2例
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演者 |
佐藤 俊大(柏崎総合医療センター) |
共同演者 |
五十川 修(柏崎総合医療センター), 高橋 祥史(柏崎総合医療センター), 林 和直(柏崎総合医療センター) |
抄録 |
セリアック病は欧米で比較的頻度の高い吸収不良症候群の一つで、麦類に含まれるグルテンに対する腸管アレルギーである。下痢、消化不良便、体重減少、貧血、浮腫など吸収不良による多彩な症状を示すが、グルテンを除いた食事を摂取することで多くは改善する。 本邦では極めて稀とされているセリアック病を経験したため報告する。[症例1]50歳代男性。気管支喘息、末梢神経炎、骨粗鬆症にて加療歴あり。H14年より慢性的な下痢がみられ、下部消化管内視鏡・組織診断検査を含む精査にても原因は特定できず保存的に加療されていた。潰瘍性大腸炎を疑われ副腎皮質ステロイドの投与がされたところ、一時的には症状は軽快を認めたが投与終了とともに症状の増悪がみられ、その後症状は改善を認めなかったため、H22年3月当科入院となった。入院後絶食腸管安静、輸液にて症状は速やかに改善を認め、成分栄養剤内服では再増悪はみられなかった。入院中に施行した小腸内視鏡で空腸深部に萎縮性胃炎と類似した粘膜の発赤、白色のまだら様の所見が認められ、組織診にて絨毛の平坦化、萎縮、消失が認められた。[症例2]20歳代女性。H23年7月に腹痛、下痢が持続し、体重減少が顕著であったため、精査目的に当科入院となった。絶食腸管安静、輸液にて症状は軽快するが、経口摂取再開にて再増悪を繰り返していた。9月小腸内視鏡を施行したところ、組織学的には空腸粘膜に明らかな萎縮はみられなかったが、内視鏡上は通常粘膜よりも萎縮している印象があった。 本症例は両方とも麦類禁の栄養指導にて保存的に経過観察されている。症状増悪時にはフェキソフェナジン塩酸塩内服にて軽快がみられている。 セリアック病は稀な疾患であり、診断に未だ確立したものはないが、症状より本疾患を疑った際には積極的に小腸内視鏡やカプセル内視鏡を検討すべきと考えられた。 |
索引用語 |
セリアック病, 小腸 |