セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸(症例報告)2

タイトル 消P-458:

術前診断にMDCTが有用であったWinslow孔ヘルニアの1例

演者 朝蔭 直樹(柏厚生総合病院・外科)
共同演者 松村 知憲(柏厚生総合病院・外科), 岡田 慶吾(柏厚生総合病院・外科), 中村 直和(柏厚生総合病院・外科), 苅込 和裕(柏厚生総合病院・外科), 十束 英志(柏厚生総合病院・外科), 諏訪 達志(柏厚生総合病院・外科)
抄録 内ヘルニアに起因するイレウスの頻度は0.5%~3%と低く、なかでもWinslow孔ヘルニアは内ヘルニアの8%と稀である。今回、我々は術前のMDCTでWinslow孔ヘルニアと診断しえた症例を経験したので報告する。症例は19歳、男性。夕食後急激に右季肋部痛が出現近医を受診、症状増悪のため当院に救急転送された。来院時右季肋部に強い圧痛を認めたが筋性防御はなく、MDCTで著明な胃拡張と肝門部周囲にfree air(と当初は判断した)を認め、十二指腸潰瘍穿孔限局性腹膜炎の診断で保存的加療を開始。入院後腹痛は軽減傾向であったが、CTを再検討すると網嚢内の腸管拡張像、Winslow孔から網嚢内へ続く索状物収束像を認め、Winslow孔ヘルニアによるイレウスと診断し発症後約20時間で緊急手術を施行。臍部切開TANKOで腹腔鏡下に観察すると、回腸末端より約290cmの部位の小腸が網嚢内に陥入し虚血変色していた。陥入小腸をWinslow孔から牽引しても脱転不能であったため網嚢を解放し陥入解除を試みたが不能であった。そこで網嚢直上の上腹部正中を4cm切開開腹し、直視下に網嚢腔からWinslow孔へと用手愛護的に陥入小腸を圧出し陥入解除に成功した。陥入小腸は約30cmで虚血変化が見られたのは10cmほどであり穿孔は見られなかった。再度気腹しWinslow孔を観察すると1.5横指ほどで開大は認めず、Winslow孔の閉鎖は行わなかった。その間腹腔内で陥頓小腸を観察していると、色調も改善し血行回復可能と判断し腸管切除せずに手術を終了。術後腹部膨満は継続したが腹痛は軽快、排便も認め経口摂取を開始したが、7分粥まで進むと腹痛再燃し再度イレウスと診断。イレウス管を挿入し造影すると右骨盤内で狭窄像を認めたため再手術を行った。初回虚血変化を起こしていた小腸が右骨盤内で屈曲癒着し狭窄していた。約30cmの小腸切除を行ったが再手術後は順調に経過し退院。Winslow孔ヘルニアは稀な疾患であるが、MDCTの特徴的な所見を念頭に置き、より早期の手術に結びつけることが重要と考えられた。
索引用語 Winslow孔ヘルニア, MDCT