抄録 |
【目的】当院におけるインフリキシマブ(IFX)維持治療中のクローン病(CD)患者のうち、IFX効果減弱に対しIFX増量投与を行った症例について検討した。【方法】当院でIFX維持投与中のCD患者のうち、治療経過中IFX効果減弱と判断した症例に対し、2011年8月増量投与承認後、IFX倍量投与(10mg/kg)を開始した。増量前後のCRP値およびCDAIの経過を追うことによりIFX増量投与の効果について検討した。【成績】当院でIFX維持投与中のCD患者242例について維持投与2回未満の10例を除外した232例のうち、寛解群(CDAI<150)は170例(73.3%)、非寛解群(CDAI≧150)は62例(26.7%)であった。IFX増量例は抄録作成時点で81例で、非寛解例からの増量は37例(69.8%)であったが、寛解例からも44例(26.0%)の増量があった。増量症例のうち、59例(72.8%)はCDAI≧150あるいはCRP>0.3であったが、寛解(CDAI<150)かつCRP陰性でも22例(27.2%)あり、それらの増量理由は、投与間隔短縮からの切り替え7例、腹痛・腹満・下痢症状6例、痔瘻合併5例、出血・貧血4例であった。増量2回以上投与した78症例について治療効果を検討したところ、CDAI(中央値)は、増量前157、増量後8週96、 CRP(中央値)は、増量前0.9、増量後8週0.65であった。【結論】IFX効果減弱例に対する当院での治療経過を示した。増量投与後CDAI、CRPは改善傾向がみられるも、現時点では日が浅い。当院では国内の増量試験と同様、増量は5回まで続けて経過を見る予定としており、本会では最新のデータを示したい。 |