セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-大腸(クローン病)

タイトル 消P-464:

活動期クローン病小腸病変に対する小腸造影検査によるインフリキシマブ治療効果の検討

演者 河口 貴昭(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター)
共同演者 園田 光(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 唯見 徳馬(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 酒匂 美奈子(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 吉村 直樹(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 高添 正和(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター)
抄録 【目的】クローン病(CD)は全消化管を侵す疾患であり小腸の評価は必須である。また粘膜病変のみならず狭窄や瘻孔などの形態変化が予後を左右することから、CDの小腸病変の評価には小腸造影検査が有用である。我々は有管法小腸造影検査を用いて、CD小腸病変に対するインフリキシマブ(IFX)の粘膜治癒効果、及び粘膜治癒と狭窄変化との関連について検討した。【方法】当院小腸造影検査にて活動性小腸病変を認め、3ヵ月以内にIFXの導入・維持療法を行い、その後に同検査による再評価を行ったCD43名を対象に、空腸・上部回腸・下部回腸・終末回腸のそれぞれについて、アフタ・潰瘍・縦走潰瘍(長軸方向に4cm以上)・敷石状変化といった粘膜病変、および狭小・狭窄病変、裂溝・瘻孔病変の経時的変化をretrospectiveに評価した。【成績】IFX導入から効果判定検査までは中央値658日(210-1595)であった。全小腸の粘膜治癒(粘膜病変の消失または瘢痕化)を認めたのは43例中14例で、うち3例(21.4%)では狭窄の出現・悪化を認めた。一方、粘膜治癒を得られなかった29例では24例(82.8%)に狭窄の悪化を認めた。各病変を小腸の部位別に累計すると、アフタ、潰瘍、縦走潰瘍、敷石状変化の治癒率はそれぞれ100%(13/13)、61.3%(19/31)、43.3%(26/60)、55.6%(5/9)であった。狭小・狭窄病変の60.0%(33/55)に狭窄進行がみられたが20.0%(11/55)は改善していた。狭窄部位での粘膜病変治癒率は狭窄改善例では81.8%(9/11)であったが狭窄進行例では24.2%(8/33)であった。瘻孔が閉鎖したのは3例中1例で、経過中に2例で新たな内瘻形成を認めた。【結論】小腸造影検査での検討により、CD小腸病変に対するIFXの粘膜治癒効果が狭窄の抑制に関与することが示唆された。
索引用語 小腸造影検査, インフリキシマブ