セッション情報 |
シンポジウム8(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)
NASHからの発癌:基礎と臨床
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タイトル |
消S8-9:非アルコール性脂肪性肝炎からの発癌における核内受容体CARの役割
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演者 |
滝澤 大地(伊勢崎市民病院・内科) |
共同演者 |
柿崎 暁(群馬大大学院・病態制御内科学), 山崎 勇一(群馬大大学院・病態制御内科学) |
抄録 |
【目的】非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)からの発癌は、本邦でも重要な課題となってきている。核内受容体CARは薬物・外来異物に反応し、薬物代謝酵素やトランスポーターを制御する受容体として発見された。近年、CARは薬物代謝だけでなく、糖・脂質代謝、発癌、炎症にも関与していることが明らかになってきた。我々は、メチオニン・コリン欠乏食(MCD食)によるマウスNASHモデルで、CARはROSの産生を増加しNASHの増悪因子となることを報告した(Gut 2007;56:565-74)。今回、NASHからの肝発癌におけるCARの役割を検討した。【方法】野生型(WT)及びCARノックアウトマウス(KO)に、2週齢でジエチルニトロサミンを腹腔内に単回投与(5mg/kg)し、8週齢から各々のマウスにMCD食を投与した。各群の腫瘍数、腫瘍径、Ki-67 index、各種mRNA・蛋白の誘導、生存曲線を比較した。In vitroでCARを恒常的に発現させたHepG2細胞(Ym17 cell)を用い、ligand刺激による細胞増殖を比較した。【成績】MCD食はWTマウスにおいて、肝発癌を優位に促進した。KOマウスでは、WTに比較し、腫瘍数は少なく、腫瘍径も小さかった。MCD食を投与したWTマウスはKOと比較して、Ki67陽性細胞の増加を認め、cMyc、FOXM1の増加をmRNA、蛋白レベルで認めた。WTマウスのMCD群では、CARの活性化を意味する核内移行を認めた。生存曲線では、MCD食のWTで有意に予後が悪かった。Ym17 cellで、CARのligand(TCPOBOP)刺激による細胞増殖(MTT assay, BrdU labeling assay)の亢進とcMyc、FOXM1の増加を認めた。【結論】核内受容体CARは、マウスNASHモデルの肝発癌において、ROSの産生増加、細胞増殖の亢進を来たし、発癌に促進的に関与していた。 |
索引用語 |
NASH, 核内受容体 |