セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(基礎)2

タイトル 消P-475:

C57BL/KsJ-db/db-ApcMin/+マウスは新規肥満糖尿病関連大腸発癌モデルとして有用である

演者 久保田 全哉(岐阜大大学院・消化器病態学)
共同演者 清水 雅仁(岐阜大大学院・消化器病態学), 馬場 厚(岐阜大大学院・消化器病態学), 寺倉 大志(岐阜大大学院・消化器病態学), 大野 智彦(岐阜大大学院・消化器病態学), 河内 隆宏(岐阜大大学院・消化器病態学), 白上 洋平(岐阜大大学院・消化器病態学), 森脇 久隆(岐阜大大学院・消化器病態学)
抄録 【目的】肥満および糖尿病患者が増加している一方で、これらの病態が大腸癌の危険因子であることが明らかになってきている。今回我々は、肥満糖尿病患者における大腸癌進展の機序を解明するために、新規動物モデルを作製した。
【方法】肥満2型糖尿病モデルでレプチン受容体mutantであるC57BL/KsJ-db/db (db/db)マウスと、家族性大腸ポリポーシスモデルマウスでAPC遺伝子ヘテロノックアウトであるC57BL/6J-ApcMin/+ (Min/+)マウスを交配して、C57BL/KsJ-db/db-ApcMin/+ (db/db-Min/+)マウスを作成し、発生する大腸および小腸腫瘍に対する病理学的検討と、大腸粘膜における各種遺伝子発現(RT-PCR)および血清の解析を行った。
【結果】作成したdb/db-Min/+マウス(N9バッククロス世代)は15週齢において、geneticな対照群であるdb/m-Min/+、m/m-Min/+マウスと比較し、小腸腺腫の発生数と大腸腺腫の発生率が有意に増加した。血清インスリン、グルコース、コレステロール、トリグリセリドは、db/m-Min/+、m/m-Min/+マウスと比較して有意な上昇を認めた。また大腸粘膜におけるIGF-1、IGF-2、IGF-1受容体(IGF-1R) mRNAの発現は、db/db-Min/+マウスにおいて有意な増加を認めた。これらの結果よりdb/db-Min/+マウスでは、高インスリン血症および脂質異常に加えて、IGF/IGF-1Rシグナルの活性化が腸管の腺腫形成を促進している可能性が示唆された。
【結論】db/db-Min/+マウスは、肥満や糖尿病患者における大腸癌の発症や治療、予防に関する研究において有用なモデルと考えられる。
索引用語 大腸癌, 肥満