セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
大腸(基礎)2
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タイトル |
消P-477:メタロチオネイン欠損によりマウス実験腸炎は有意に増悪する
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演者 |
辻 俊史(京都府立医大大学院・消化器内科学) |
共同演者 |
内藤 裕二(京都府立医大大学院・消化器内科学), 高木 智久(京都府立医大大学院・消化器内科学), 久貝 宗弘(京都府立医大大学院・消化器内科学), 寄木 浩行(京都府立医大大学院・消化器内科学), 福居 顕文(京都府立医大大学院・消化器内科学), 水島 かつら(京都府立医大大学院・消化器内科学), 平井 泰子(京都府立医大大学院・消化器内科学), 堅田 和弘(京都府立医大大学院・消化器内科学), 鎌田 和浩(京都府立医大大学院・消化器内科学), 内山 和彦(京都府立医大大学院・消化器内科学), 半田 修(京都府立医大大学院・消化器内科学), 八木 信明(京都府立医大大学院・消化器内科学), 市川 寛(京都府立医大大学院・消化器内科学), 柳澤 利枝(環境省国立水俣病総合研究センター), 鈴木 純子(国立環境研究所・環境健康研究領域), 高野 裕久(京都大大学院・工学研究科), 佐藤 雅彦(愛知学院大・薬学部医療薬学科), 吉川 敏一(京都府立医大大学院・消化器内科学) |
抄録 |
【目的】難治性・再発性病態を示すクローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患において,病態解明や新規治療分子の探索は重要な研究課題である.我々は先行研究で,マウス実験腸炎モデルの腸管炎症粘膜を用いた網羅的遺伝子解析を行い,発現変動する遺伝子としてメタロチオネイン(MT)を同定した.MTは構成アミノ酸の約1/3にシステイン残基を有する抗酸化蛋白質とされているが,腸管炎症における役割は明らかではない.今回MT-I/II欠損マウスを用いて腸炎を作成し腸管粘膜におけるMTの役割について検討を行った.【方法】7週齢雄性野生型,MT-I/II欠損マウスに対して2% Dextran sulfate sodium (DSS)を7日間投与することにより大腸炎を作成した.またMT誘導剤として硫酸亜鉛を投与することによる治療効果も検討した.評価項目として,体重減少率,DAI(disease activity index),腸管長,myeloperoxidase(MPO)活性,炎症性サイトカイン発現(RT-PCR)を測定し,腸管粘膜におけるMTの局在を免疫染色にて検討した.更に潰瘍性大腸炎患者の大腸正常粘膜,活動性炎症粘膜におけるMTの発現をRT-PCRにて検討した.【成績】MT-I/II欠損マウスでは野生型と比較して有意にDAIの増加を来たし,著しい体重減少や腸管短縮が観察された.MPO活性や炎症性サイトカイン発現もMT-I/II欠損マウスで有意に増加していた.免疫染色でMTは粘膜下層の単球系細胞に局在していることが示された.また野生型マウスにおいて硫酸亜鉛を投与することにより,DSS腸炎が改善傾向を示した.更に潰瘍性大腸炎患者の炎症粘膜においてMTが発現亢進していた.【結論】野生型に比べてMT-I/II欠損マウスではDSS腸炎は有意に増悪し,腸管炎症の進展においてMTは重要な組織保護作用を発揮する可能性が示唆された. |
索引用語 |
メタロチオネイン, DSS腸炎 |