セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(基礎)2 |
---|---|
タイトル | 消P-479:IL-4と抗PD-1抗体を用いた消化器癌に対する免疫療法の検討 |
演者 | 大森 里紗(昭和大・消化器内科) |
共同演者 | 江口 潤一(昭和大・消化器内科), 広石 和正(昭和大・消化器内科), 梶原 敦(昭和大・消化器内科), 土肥 弘義(昭和大・消化器内科), 坂木 理(昭和大・消化器内科), 笹川 綾子(昭和大・消化器内科), 石井 成明(昭和大・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科) |
抄録 | 【目的】消化器癌においては集学的治療の発展により予後の改善を認めているが、進行癌患者では免疫抑制状態に陥っていることが多く、免疫療法で消化器癌を治療するには強く抗腫瘍免疫を誘導する必要がある。Programmed Death-1(PD-1)は活性化したリンパ球の表面にある受容体の一種で、活性化リンパ球を沈静化する負のシグナルの伝達に関与しているため、PD-1を阻害することにより、従来の免疫療法の効果を増強することが想定される。本研究では強い抗腫瘍効果を持つInterleukin(IL)-4療法に抗PD-1抗体を併用した免疫療法に対する評価を行うことを目的とする。【方法】消化器癌細胞株として、マウス大腸癌細胞株MC38を用いた。治療モデルでは、野生株を皮下接種して皮下腫瘤を形成したマウスに対してIL-4を遺伝子導入したマウス消化器癌細胞株 (MC38-IL4)と抗PD-1抗体とを治療目的に投与した後、野生株腫瘤の大きさを経時的に測定した。抗腫瘍効果の作用機序を検索するため、同治療モデルで野生株腫瘤内に浸潤している免疫細胞を免疫組織染色で観察した。またIL-4と抗PD-1抗体で免疫したマウスの脾細胞を用いて、51Cr-release法で腫瘍特異的細胞傷害活性を測定した。【結果】MC38-IL4と抗PD-1抗体を併用することにより、対照群と比較し、野生株腫瘤の増大が有意に抑制された(併用治療群:177.8±23.9 mm2、 対照群:309.5±27.6 mm2、p=0.008)。また免疫組織染色ではIL-4と抗PD-1抗体で治療したマウスの野生株腫瘤内にCD4とCD8陽性細胞が多く浸潤していた。さらにMC38-IL4と抗PD-1抗体を併用して免役されたマウスの脾細胞からは、他の治療群と比較して、より強力な腫瘍特異的細胞傷害活性を誘導することが可能であった。【考察】細胞性免疫応答の活性化や、好中球賦活化作用などの多彩な免疫賦活効果を示すIL-4の抗腫瘍作用を、抗PD-1抗体は増強することが明らかとなった。この治療は今後、臨床への応用も期待できると考えられた。 |
索引用語 | 免疫療法, 抗PD-1抗体 |