セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(基礎)3

タイトル 消P-481:

酸化ストレス下特異的に誘導されるtruncated SRSF3 proteinの新規機能解析

演者 西田 憲生(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・ストレス制御医学)
共同演者 狩野 静香(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・ストレス制御医学), 黒川 憲(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・ストレス制御医学), 増田 清士(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・ストレス制御医学), 桑野 由紀(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・ストレス制御医学), 六反 一仁(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・ストレス制御医学)
抄録 【背景】スプライシングは、同一遺伝子から複数のメッセンジャーRNA (mRNA) isoformsを生成し、遺伝子的多様性を高める重要な機構である。スプライシング調節因子であるSRSF3遺伝子は、自身もスプライシングにより、主要isoform (Full-SRSF3)とは異なる中途ストップコドン(premature stop codon; PTC)をもつisoform (PTC-SRSF3)を生成する。今回、我々は、PTCを持つために異常mRNAとして分解されるPTC-SRSF3 mRNAから、酸化ストレス下特異的にtruncated SRSF3 proteinが翻訳されることを初めて見出した。【目的】酸化ストレス特異的に翻訳されるtruncated SRSF3 proteinの新規機能を明らかにする【方法・結果】大腸癌細胞株HCT116細胞では、酸化ストレス(sodium arsenite (100 μM))処理によるFull-SRSF3 mRNAレベルの変動は認めなかったが、一方、PTC-SRSF3 mRNAは、arsenite処理後1時間から上昇し、8時間後には、約15倍までmRNA レベルが上昇した。興味深いことに、SRSF3 タンパク質(20 kDa)とは異なるPTC-SRSF3 mRNA由来のtruncated SRSF3タンパク質(15 kDa)が酸化ストレス下特異的に翻訳されることを見出した。さらにマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析の結果、truncated SRSF3 proteinの過剰発現細胞では、357遺伝子の発現が1.5倍以上変動し、acute stress responseに関わるシグナルパスウェイが有意に変化していた。さらに、このパスウェイに含まれ、転写因子であるJUN遺伝子のarsenite処理時の発現誘導は、trauncated SRSF3 proteinにより抑制的に制御されていた。RNA-免疫沈降とmRNAの安定性を検討した結果、truncated SRSF3 proteinがJUN mRNAに結合し、JUN mRNAの安定性が低下することが明らかとなった。【結論】酸化ストレス下特異的に翻訳されるtruncated SRSF3 proteinは、転写因子JUNのmRNAの安定性の制御を介することで抗酸化ストレスの機能を持つことが示唆された。
索引用語 スプライシング, 炎症