セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(基礎)3

タイトル 消P-482:

Clostridium butyricum によるIL-10-producing CD11b + F4/80 + マクロファージ誘導能および腸炎抑制効果の検討

演者 林 篤史(慶應義塾大・消化器内科)
共同演者 金井 隆典(慶應義塾大・消化器内科), 三上 洋平(慶應義塾大・消化器内科), 筋野 智久(慶應義塾大・消化器内科), 水野 慎大(慶應義塾大・消化器内科), 半田 一己(慶應義塾大・消化器内科), 松本 淳宏(慶應義塾大・消化器内科), 松岡 克善(慶應義塾大・消化器内科), 佐藤 俊郎(慶應義塾大・消化器内科), 久松 理一(慶應義塾大・消化器内科), 日比 紀文(慶應義塾大・消化器内科)
抄録 [目的] Clostridium属細菌はヒト腸内細菌における最優勢の菌群である。近年、46種類のClostridium (C.) coccoides 及びleptumの混合カクテルがIL-10産生制御性T細胞を誘導することによってマウス腸炎を抑制し、ヒト炎症性腸疾患においてはこれらの腸内細菌が減少していることが報告されている。本研究では、Probiotics候補として、C. butyricumの抗炎症効果および免疫学的メカニズムについて検討した。[方法] C. butyricumを正常無菌マウスへ投与し免疫応答を検討した。次にC. butyricumの炎症状態における免疫誘導能を評価するため、Dextran sulfate sodium (DSS)により腸炎を誘導したwild type (WT)、TLR2-/-及び MyD88-/-マウスの粘膜固有層単核球(LPMC)と各種死菌体を共培養し、培養上清中のサイトカインを測定した。またC. butyricumのIL-10産生細胞をFACSおよびRT-qPCRにて解析した。DSS腸炎におけるC. butyricumの炎症抑制効果を無菌およびSPFマウスを用いて検討した。[結果] C. butyricumは制御性T細胞およびIL-10産生を誘導した。さらに、C. butyricumによって刺激されたcolitic WT LPMCはEnterococcus faecalisに比し有意にIL-10産生を誘導し、このIL-10産生能はcolitic TLR2-/-、 MyD88-/- LPMCでは消失した。FACS解析により、C. butyricumによるIL-10産生細胞はCD4+T細胞のみならず、CD11b+ F4/80+ マクロファージであった。またCD11b+マクロファージにおけるIL-10およびTGF-βのmRNA発現が有意に増加した。無菌およびSPFマウスにおいて、C. butyricumを投与することにより、DSSによって誘導された腸炎を改善することが明らかになった。[結論] C. butyricumは炎症時においてTLR2/MyD88経路を介してIL-10産生CD11b+ F4/80+ マクロファージを誘導し腸炎抑制効果を示した。以上、C. butyricumはProbioticsとしての炎症性腸疾患への応用が示唆された。
索引用語 IBD, Clostridium