セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(基礎)3

タイトル 消P-484:

大腸上皮および単球細胞におけるamphiregulin-regulating protein (ARP) 36によるTNFα放出制御機構

演者 塚本 宏延(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
共同演者 谷田 諭史(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 尾関 啓司(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 海老 正秀(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 溝下 勤(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 森 義徳(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 片岡 洋望(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 神谷 武(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
抄録 【目的】炎症性腸疾患(IBD)における抗TNFα抗体の有効性は確立されているが、不応例や2次無効例が問題である。膜結合型TNFα(2型膜タンパク)は、ADAM17により可溶型TNFαに切断・遊離(shedding)される。ADAM17は、1型膜タンパクであるAmphiregulin(AREG)、HB-EGFも sheddingする。ADAM17やAREGと相互作用するタンパクを同定することで、TNFαsheddingのメカニズムを明らかにし、新規治療ターゲットを探索した。【方法】大腸上皮細胞株(HCT116)および単球細胞株(U937)を使用した。ADAM17によるsheddingに関連するタンパクを同定するため、抗AREG抗体で共免疫沈降後、MALDI/TOFMSにて網羅的に同定した。TNFαshedding測定系を確立するため、IL-1β、フォルボールエステル(TPA)で刺激し、培養液中のTNFα濃度をELISA測定した。ADAM17抑制のため、ADAM阻害剤(KB-R7785)を使用、siRNAによりADAM17蛋白を欠失させた。さらに、MALDI/TOFMSにて同定した蛋白をsiRNAで欠失させ、TNFαsheddingをELISA法で解析した。【結果】MALDI/TOFMS解析にて、10種類のタンパクが同定された。大腸上皮および単球細胞で多く発現がみられるAREG-regulating protein (ARP) 36に着目した。HCT116をIL-1β刺激すると、培養液中のTNFα濃度が経時的に増加した。U937をTPA刺激するとTNFα濃度が増加した。KB-R7785、siRNAによりADAM17を欠失すると、TNFα濃度上昇が、有意に抑制された。さらに、siRNAによりARP36を欠失しても、TNFαの濃度上昇を、有意に抑制した。ARP36欠失は,AREG、HB-EGFのsheddingを抑制しなかった。【考察】ARP36欠失は,TNFαsheddingを抑制したが、AREG、HB-EGFのsheddingを抑制しなかったことから、ARP36は,ADAM17による1型および2型膜タンパクの切断を制御する重要な分子と考えられた。【結論】ARP36の抑制は、TNFαsheddingのみを制御し、新規IBD治療戦略になりうると考えられた。
索引用語 TNFα, ADAM17