セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(診断)1 |
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タイトル | 消P-487:下部消化管出血症例における内視鏡前CT検査の有用性の検討 |
演者 | 宮岡 洋一(島根県立中央病院・内視鏡科) |
共同演者 | 上野 さや香(島根県立中央病院・消化器科), 福田 聡司(島根県立中央病院・消化器科), 泉 大輔(島根県立中央病院・消化器科), 三上 博信(島根県立中央病院・消化器科), 矢崎 友隆(島根県立中央病院・消化器科), 沖本 英子(島根県立中央病院・消化器科), 伊藤 聡子(島根県立中央病院・消化器科), 藤代 浩史(島根県立中央病院・内視鏡科), 高下 成明(島根県立中央病院・消化器科), 今岡 友紀(島根県立中央病院・消化器科) |
抄録 | 【背景】下部消化管出血例で出血源検索目的のCTの有効性は多数報告されているが、ルーチンで施行した場合の出血源診断率の検討は少ない。【目的】下部消化管出血例で内視鏡前に施行したCTでの出血源診断率を検討した。【対象】2007年1月から2011年12月までに血便を主訴に当院を受診しCTを施行した625例中、下部内視鏡で出血源検索を施行しえた516例(単純CT(pCT)100例、造影CT(eCT)416例)。【結果】内訳は虚血性大腸炎165例、大腸憩室出血(疑い例も含む)131例、痔核52例、感染性大腸炎43例、直腸潰瘍33例、大腸癌31例、その他61例。CT全体での出血源診断率は58.9%(304/516)で、pCTでは53.0%(53/100)、eCTでは60.1%(250/416)であり、eCTでやや高い傾向であった。壁肥厚が有用なCT所見となりうる虚血性大腸炎や感染性大腸炎、大腸癌等ではpCT、eCT共に高い診断率であった。CTで内視鏡治療を要する出血源が確認できた大腸憩室出血と直腸潰瘍では、CT診断率はeCTで47.1%(16/34)、56.3%(9/16)、pCTではともに0%でありeCTが有用であった。eCTで腸管内腔へ造影剤漏出ありと判定した例は49例あり、うち67.3%(33/49)で内視鏡等の治療を要した。緊急下部内視鏡を施行した152例中、内視鏡等の治療を要したものは57例あり、その49.1%(28/57)がCTで活動性出血ありと診断していた。また、待機的に下部内視鏡を施行した364例中、止血状態のものは336例あり、その98.2%(330/336)がCTで活動性出血なしと診断していた。【考察】CTは下部消化管出血源検索に有用な検査であり、特にCTで出血源を強く疑った場合は内視鏡治療等が必要になる可能性が高く、事前に止血術準備や心構えができる点で効果的と思われる。血管性出血病変ではeCTが有用であるが、微小出血や間欠的出血例では出血源を同定できないこともあり、造影撮影相などを検討していく必要もある。 |
索引用語 | 下部消化管出血, CT |