セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(診断)1

タイトル 消P-488:

感染性腸炎の超音波診断の有用性

演者 伊藤 隆徳(大垣市民病院・消化器内科)
共同演者 熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科), 桐山 勢生(大垣市民病院・消化器内科), 谷川 誠(大垣市民病院・消化器内科), 久永 康宏(大垣市民病院・消化器内科), 豊田 秀徳(大垣市民病院・消化器内科), 金森 明(大垣市民病院・消化器内科), 多田 俊史(大垣市民病院・消化器内科), 新家 卓郎(大垣市民病院・消化器内科), 安田 諭(大垣市民病院・消化器内科), 安藤 祐資(大垣市民病院・消化器内科), 山本 健太(大垣市民病院・消化器内科), 曽根 康博(大垣市民病院・放射線科)
抄録 【目的】感染性腸炎は臨床の現場で遭遇する機会の多い疾患である。しかし確定診断に必要である便培養の感度は極めて低く、診断には至らないという問題点がある。実際にはウイルス感染が大半を占めてはいるものの、当院で、2010年で感染性腸炎が疑われ便培養が行われた全検体1310例中、原因菌の同定がなされたのは88例(6.7%)のみであった。今回われわれは起因菌別の超音波検査(US)所見の特徴について検討した。【方法】対象は2006年から2010年までの5年間に便培養から細菌が同定され細菌性腸炎と診断された504例中、急性期に超音波検査が施行された117例である。USによる検出数の多かったO-157(8例中7例、88%)、キャンピロバクター(52例中23例、44%)、ブドウ球菌(45例中19例、42%)について壁肥厚の厚さ、部位、壁構造などのUS所見を検討した。【成績】壁肥厚の厚さはO-157の症例で10mm以上の症例が71%と多く、キャンピロバクターでは7mm以下の症例が57%と多い傾向を認めたが、ブドウ球菌においては壁肥厚には一定の傾向は認めなかった。壁肥厚部位はO-157では上行結腸に全例所見を認め、キャンピロバクターは右半結腸に、ブドウ球菌は左半結腸に所見を認める傾向にあった。またキャンピロバクターは96%において壁構造は温存されるもののO-157においては71%で壁構造の消失を認めた。ブドウ球菌では一定の傾向は認めなかった。【結論】感染性腸炎の急性期にUSを行い、その特徴的な所見から、起因病原体を推定することは適切な培地選択につながり有用と考えられる。感染性腸炎を疑う症例には早期に負担、侵襲の少ないUSを行い、壁肥厚の程度、層構造、範囲の所見からある程度の鑑別診断が可能となり、治療法の選択に寄与すると考えられる。
索引用語 感染性腸炎, 超音波