セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(診断)1

タイトル 消P-489:

大腸癌における術前超音波検査結果とその後の予後の検討

演者 武藤 修一(苫小牧市立病院・消化器科DELIMITER北海道大大学院・薬学研究院臨床病態解析学)
共同演者 武田 宏司(北海道大大学院・薬学研究院臨床病態解析学), 大西 俊介(北海道大大学院・消化器内科学), 福島 拓(苫小牧市立病院・消化器科), 高橋 一宏(苫小牧市立病院・消化器科), 宮本 秀一(苫小牧市立病院・消化器科), 石津 明洋(北海道大病院・病理部), 浅香 正博(北海道大大学院・がん予防内科学)
抄録 【目的】超音波検査は非侵襲的であり、消化器癌の術前精査としてStageや転移性肝腫瘍の存在診断に用いられる。我々は大腸癌病変部に、造影超音波検査を用いて病理組織とその後の予後について検討した。 【方法】当院において平成20年1月から平成21年9月までに腹部超音波と手術を施行した大腸癌68症例を対象とした。年齢は41歳~93歳(平均70.4歳)で、性別は男性40例、女性28例。組織型は高分化管状腺癌21例、中分化管状腺癌35例、粘液癌4例、低分化腺癌6例、印環細胞癌1例、内分泌細胞癌1例であった。大腸癌の腫瘍部を確認後、造影剤ソナゾイド(R)を静注し、腫瘍内部の造影パターンを観察した。全体に造影されるものをdiffuse patternとし、造影されない部分が認められるものをdefect patternとして臨床的意義と比較検討した。その後の再発など予後について検討を行った。【成績】Defect patternはdiffuse patternに比し、最大腫瘍径は大きく、深達度も深く浸潤していた。組織型は分化度の高い管状腺癌はdiffuse patternが多く、それ以外の組織型はdefect patternが多く認められた(p<0.01)。diffuse patternはCD34染色による血管密度が高く、defect patternは低かった。また組織内にnecrosisを認めるものはdefect patternを示すものが有意に多かった(p<0.01)。多変量解析では血管の密度(p=0.02)、最大腫瘍径(p=0.01)、necrosisの存在(p=0.01)が造影パターンを分ける因子であった。平均約1000日間の経過においてKaplan Meier法にて予後の検討を行うと、defect patternは有為に再発が多く(p=0.01)生存率も低かった(p<0.01)。【結論】腫瘍組織内のnecrosisの存在が予後と関連する報告が見られる。necrosisの存在を描出可能とし、予後を推測できる可能性のある造影超音波検査は非常に有用な検査と考えられた。
索引用語 大腸癌, 造影超音波検査