セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(診断)1

タイトル 消P-490:

虚血性大腸炎の診断における腹部エコー検査の有用性

演者 高橋 一宏(苫小牧市立病院・消化器科)
共同演者 武藤 修一(苫小牧市立病院・消化器科), 福島 拓(苫小牧市立病院・消化器科), 宮本 秀一(苫小牧市立病院・消化器科)
抄録 【目的】虚血性大腸炎の診断について、消化管エコー検査が内視鏡検査と同様に有用な検査であることは一部で認知されているものの未だ一般的とはいえない。そこで、虚血性腸炎の診断や経過観察に腹部エコー検査は有用であるのか検討を行った。【方法】対象は2008年1月から2012年3月までに当院で虚血性腸炎と診断された99例(男性26名、女性73名、年齢中央値68歳、最小28歳、最大95歳)に対して検討した。画像診断は腹部エコー検査、大腸内視鏡検査、CT検査のいずれかを行っていた。そして、診断のために用いた検査、経過観察のために用いた検査、各々の検査における病変の範囲について検討した.【結果】受診時主訴としては、下血と腹痛が多く約76%に認めた。次に下痢は37%、嘔気・嘔吐は19%に認められた。また、高齢者では高血圧症や脂質異常症などの基礎疾患を持っている頻度が高い一方で、若年者は便秘者が約1/4に認められたが、3/4の症例で基礎疾患は有さなかった。受診後3日以内に診断目的に行った検査はCT検査が83%と最も多く、大腸内視鏡検査は60%、エコー検査は37%であった。病変の経過観察には大腸内視鏡検査が59%、CTは13%、エコー検査は20%であった。診断時に複数の検査を行った症例について検討すると、内視鏡検査は腹部エコーと22%、腹部CT検査と46%で同様の病変範囲を認めたが、狭く評価している傾向が見られた。エコーとCT検査は65%の症例でほぼ同様の範囲を病変と診断された。また腸炎部位のエコーレベルを評価すると、エコーレベル低下(固有筋層がわずかに認識できる程度)が見られる場合は、壁が肥厚し(10.8mm:7.6mm。p<0.01)、入院日数が長くなっていた(9.3日:17.9日。p<0.01)。【結論】腹部エコー検査は、内視鏡検査やCT検査と同様の病変診断が可能であった。また、エコーレベルなどから炎症の状態を把握できる可能性があり、診断、経過観察に非常に有用と考えられた。
索引用語 虚血性大腸炎, 消化管エコー