セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(診断)2

タイトル 消P-492:

血清TFPI2 methylationによる手術前後の大腸癌の検出

演者 日比 健志(昭和大藤が丘病院・外科)
共同演者 水上 博喜(昭和大藤が丘病院・外科), 齋藤 充生(昭和大藤が丘病院・外科), 木川 岳(昭和大藤が丘病院・外科), 根本 洋(昭和大藤が丘病院・外科), 真田 裕(昭和大藤が丘病院・外科)
抄録 【目的】TFPI2はserine proteinase inhibitorであり、癌細胞の細胞外マトリックスの分解を妨げる事により、癌の増殖を妨げる事が分かっている。今回我々は、手術前後における大腸癌患者血清中DNAにおける同遺伝子のmethylationを調べたので報告する。【方法】大腸癌患者の血清からDNAを抽出し、bisulfite modificationを加えた後、定量methylation-specific PCR (qMSP) 法を用いてTFPI2遺伝子のmethylationの検出を行った。【成績】大腸癌患者術前血清DNA 215例中39例(18%)にTFPI2 methylationを検出した。陰性コントロールとして用いたボランティア及び大腸良性腫瘍を持った患者、大腸癌にTFPI2 methylationを持たない患者から得られた血清DNA 24例からは、同異常を検出しなかった。臨床病理学的所見との比較において血清TFPI2遺伝子のmethylationは、大きい癌(p=0.0022)、低分化癌(p=0.0164)、深達度が深い癌(p=0.0002)、リンパ節転移(p=0.0147)、遠隔転移(p<0.0001)のある癌で有為に高率に検出された。またTNM stageが進む程検出率は増加した(0から53%)が、stage 2の早期においても10%に検出し得た。また既存の腫瘍マーカーであるCEA、CA19-9と組み合わせる事で、大腸癌の検出率を42%まで上昇させる事が可能であった。さらに術後血清DNAを調べたところ、術前TFPI2 methylationの見られた患者38例のうち18例(47%)では、術後においても同異常が残存していた。これを手術根治度と比較したところ、R0手術であった患者では14例中0例(0%)、R1手術では2例中1例(50%)、R2手術となった患者では22例中17例(77%)に同異常を検出し、根治度とよく相関する結果となった。【結論】TFPI2遺伝子のmethylationを調べる事は、大腸癌の血清診断に有用であると考えられる。
索引用語 TFPI2, 大腸癌