セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
大腸(クローン病)1
|
タイトル |
消P-497:抗TNFα抗体治療によるクローン病術後再発抑制効果
|
演者 |
江崎 幹宏(九州大・病態機能内科) |
共同演者 |
松本 主之(九州大・病態機能内科), 梅野 淳嗣(九州大・病態機能内科), 浅野 光一(九州大・病態機能内科), 森山 智彦(九州大・病態機能内科), 中村 昌太郎(九州大・病態機能内科), 北園 孝成(九州大・病態機能内科) |
抄録 |
[背景と目的]クローン病(CD)の術後インフリキシマブ維持投与例では術後1年の粘膜治癒率が高かったことから、抗TNFα抗体治療が有効な術後治療となり得る可能性が示唆されている。しかし、抗TNFα抗体維持投与が術後長期の再発抑制効果を有するか否かは明らかとなっていない。今回、我々は抗TNFα抗体治療の長期術後再発抑制効果を検討した。[対象と方法]2004年1月以降に術中内視鏡併用下に手術が施行されたCD64例のうち、術後の詳細な臨床経過と画像評価が得られた人工肛門非造設39例を対象とした。臨床像(喫煙歴、発症年齢、手術時罹病期間、既手術歴、病変範囲、臨床病型、肛門病変、狭窄形成術併用、残存腸管内活動性病変)と術後療法(抗TNFα抗体薬、免疫抑制剤、ステロイド剤、5-ASA製剤、栄養療法)を遡及的に検討し、術後再発に関連する因子を検討した。なお、全観察期間を通じて1200kcal/日以上の経腸栄養剤服用が継続できた場合を栄養療法ありとし、術後再発に関しては臨床的再発の有無に関わらずX線・内視鏡検査による画像評価で活動性病変が確認された場合を術後再発ありと定義した。[結果]対象39例の平均観察期間は29.1ヶ月(7~81ヶ月)であり、観察期間中に20例(51%)で術後再発が確認された。また、術後維持治療として5-ASA製剤が34例(87%)、抗TNFα抗体薬が20例(51%)、栄養療法が15例(38%)、免疫抑制剤が11例(28%)に用いられていた。単変量解析(log rank test)では「既手術歴あり」、「穿通型」、「抗TNFα抗体薬」が術後再発関連因子として抽出された(いずれもp<0.05)。多変量解析(比例ハザード分析)では「抗TNFα抗体薬」は有意な術後再発抑制因子(RR;0.10、95%CI;0.02~0.37)であり、「既手術歴あり」が有意な再発関連因子(RR;7.74、95%CI;2.22-33.3)であった。[結論]CDの術後患者において抗TNFα抗体治療は長期にわたる術後再発抑制効果を有している。また、複数回の手術施行例に対しては強力な術後維持治療が必要と考えられる。 |
索引用語 |
クローン病, 術後再発 |